大学受験に臨むみなさんは、数多くある大学の中から志望校を決めて入試本番に挑みます。
受験生の多くは「できるだけ良い大学に行きたい」という思いから、偏差値の高い大学ほど高い志望度で受験します。
その考え方は基本的には間違っていませんが、「偏差値だけで志望度を決める」というのは実はリスクも存在するのです。
ここでは大学受験における偏差値や倍率の考え方について解説していきましょう。
偏差値と倍率の関係
基本的には倍率が高まれば偏差値は高くなる傾向があります。
もちろん、東大をはじめとした国立大学など足切り制度があったり、一部の人しか受けられない特殊な学部があったりする場合は例外ですが、概してその傾向は存在します。
そのとき大学が何を考えるのかと言えば「倍率を上げて自校の偏差値を上げたい」と考えます。
しかし入学者数つまり合格者数を減らしてしまうと学生の数が減りますから、大学としては収入(授業料)が減ってしまうのです。
よって、各大学の合格者数が一定に保たれていることで、倍率が偏差値(と人気度)を反映するのです。
大学側のウルトラC
しかしそれでは大学側は面白くありません。
特に私立大学は偏差値である人気度を保ちながら、学生を増やして収入を上げていくことを目指します。
特に少子化の現在では、よりその要求が高まることは言うまでもありません。
そこで利用されるのが、推薦入試、AO入試、帰国子女入試といった一般学力試験ではない方法での学生集めです。
これらの入試制度は学力試験に基づかないため、人気度は図れても正確な学力や偏差値を算定することは不可能です。
例えば今まで100人学力試験で入学させていたところを50人に絞り、50人を推薦入試で入学させましょう。
すると学力試験の倍率は2倍、高い学力の学生しか合格しないため偏差値も上がります。
すると特に志望者が増えていないのに偏差値が上がる、人気度が上がったように見えるというマジックが完成します。
志望校選びは慎重に
上記の事実を受験生に伝えると、多くの受験生は憤慨し、どの学校がそんなことをしているのか調べ始めます。
しかしすぐにわかるのは「有名私大と言われる大学はほとんどやっている」という、さらなる驚きの事実です。
もちろんわずかな大学(上智など)は70%程度を学力試験で選抜している事例がありますが、大抵の有名私大は50%前後を学力試験以外の方法で選抜しています。
裏を返せばどの大学も学生集めと人気度の担保に苦慮しているということです。
同じようなことは、大学一貫校となっている中学や高校でも同じことが言えます。
大学側もなるべく高い学力の学生を集めたいものの、経営を安定させるためにこのようなことをせざるを得ないのでしょう。
まとめ
推薦入試などを利用している大学を一概に責めることはできませんし、責めても得るものはありません。
逆に一般学力試験で合格することは、その大学の中でも上位の学力を持っていることの証明でもあるのです。
大切なのは偏差値のわずかな違いに踊らされず、自分のやりたいことや将来の夢につながる大学選びをすることです。
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