大切なのは大学の「先」 大学受験を通じて身につけたい力とは何か。

黒板

このサイトの記事を読んでくれている皆さんはきっと今、目の前に迫っている大学受験という「人生の一大イベント」に向けて日々努力を重ねていることと思います。
大学受験において一番大切な日は、もちろん学力試験の行われる当日です。しかし、ここであえて「その先」について考えてほしいのです。皆さんは今目指している大学の合格を見事勝ち取ったあと、どんな目標を持つのでしょうか?
長い人生、大切なのは大学受験の先にあるものです。大学で何をするか、就活をするのであればどんな企業を選ぶのか、大学院に進むのならどんな研究をしたいのか、就職して社会に出た後にどんな仕事をするのか、自分の人生をどう生きていくのか… 
目の前のことに精一杯努力している皆さんには抽象的すぎる話に感じるかもしれませんが、そういったことを今考えることはとても意味のあることなのです。ぜひ、今自分がしている大学受験への努力が自分の今後の人生にどう影響するのかという点について考えてほしいのです。
受験勉強そのものにまつわる方法論は学校、塾・予備校、インターネットなど世の中にたくさんあります。しかし、大学受験というものにどんな意味があるのか?という問いへの答えはなかなか得ることができません。もしかしたら、ただ切迫感からとにかく勉強を日々している人もいるかもしれません。
受験勉強は大変ですが、自分の考え方ひとつでさらに価値あるものにできるはずです。ただ勉強するよりも、目的観を持って勉強するほうがモチベーションも格段に高まることでしょう。
今回の記事では、大学受験というものを通じて皆さんがどんな力を身につけられるのかということについて考えてみたいと思います。

変わりゆく大学入試

おそらく皆さん、一度は「大学入試改革」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。2020年に向けて文部科学省が推進している教育制度改革では、「これまでの知識偏重型入試から脱却する」という方針が掲げられています。
では、なぜ「知識偏重」ではいけないのでしょうか。それは、これからの社会が「誰も正解を知らない社会」になっていくからだといわれています。近年目覚ましい進展を見せているAIの技術により、職業・労働の在り方は大きく変化すると予想されています。
「2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、今はまだ存在していない職業につくだろう」という予想もあります。それほどまでに社会の変化のスピードは急速であり、「新たな答え(らしきもの)を見つける力」が必要とされていくということです。
親や教師ですらも、子供たちに正しい答えや人生観・職業観を伝えることができない社会になっていくからこそ、自分で持っている情報を自分で編集し、新たな答えを創造する力が求められていきます。

20世紀の社会は未来がある程度予想できる社会であり、マニュアルに従って効率よく労働できる人が優秀とされていました。すなわち、基礎知識を正確に理解し、正確に運用できるかどうかが優秀さの根拠となっていたともいえます。
そのような社会からの要請があったために、大学入試も知識偏重になっていました。しかし、時代の変化によって学力の定義は変わってきているのです。

「21世紀の学力」とは

様々な組織・団体が今、子供たちに必要な力を再定義しています。
たとえばOECDは、これから先の社会で求められる力を以下の3つと定義しました。
①様々なツール(知識・情報・テクノロジーなど)を適切に活用できる力
②多様なグループとも人間関係を構築できる力
③主体性をもって自律的に行動ができる力
他にも様々な定義づけが行われていますが、概ね共通するものとして「主体性」「協働性」「多様性」の3つがあります。

文部科学省は新しい「学力の三要素」として
①主体性を持ち、多様な人々と協働して学ぶ能力
 (主体性、多様性、協働性)
②自ら課題を発見し解決に向けて探求、そして成果を表現する能力
 (思考力、判断力、表現力)
③そのすべての基礎となる知識、技能
の3つを挙げています。この3つを伸ばしていくような教育、そして入試制度へと変えていきましょう、というのが今回の教育改革で議論されている内容なのです。

今私たちにできることとは

とはいえ、大学入試そのものが変わるのは2020年からです。今高校にいる人にとってはそんなに関係ないこと…と思うかもしれませんが、とんでもありません。
これらはこれからの私たちに求められるものそのものであり、社会に出たら新しい教育を受けてきた人たちが後輩になっていくのです。この教育改革というのは、あまり話題になっていないかもしれませんが、実に大きな出来事なのです。
それでは、今の皆さんにできることはどんなことなのでしょうか。難しいことではありません。皆さんがいまやっていることの質をさらに高めていくこと、やるべきだと思っているができていないことをやっていくことが大事です。
先ほど挙げた「学力の三要素」と受験勉強を具体的に結びつけていきましょう。

主体性、多様性、協働性

これは、まず受験勉強に対して主体的に取り組んでいくということです。主体的に取り組めないのにはどういった要因があるかといえば、自分が大学に行きたい理由が明確になっていないこと、どうしてもあの大学に行きたい!というような思いが持てていないという要因が大きなものでしょう。ぜひ、じっくり時間をかけて考えてほしいところです。
また、多様性、協働性ということに関してですが、受験に関して競い合い、助け合うような仲間を作れることが理想的です。つらい時に傷をなめあうような関係ではなく、「あいつががんばっているから俺もがんばろう」と奮起できるような友人を学校や塾などで作れるといいでしょう。

思考力、判断力、表現力

これに関しては、勉強そのもので鍛えられる側面ももちろんあります。しかし、もっといいのは勉強の計画を立てて実行するということです。自分の現状にはどんな課題があるのか。また、そうすればそれを解決できるのか。ネックになっている事柄はなんなのか。など、具体的に考えていくことで思考力や判断力、言い換えると課題解決力、とでも言えるものを伸ばしていくことが間違いなくできます。
塾や予備校、学校などでアドバイスをもらうことも大切ですが、結局自分のことを一番わかっているのは自分自身です。勉強について自分で考えた計画を実行できる人が最後にはどんどん伸びていくものです。しかし自分で考えた計画が明らかに間違った方向にいっていないかどうかだけは注意が必要なので、それについてアドバイスをもらうのが良いでしょう。何から何まで人に頼りっきりでは学力も伸びませんし、思考力、判断力ももちろん身につくはずがありません。

知識、技能

ここまでの話から、「必要なのは知識ではなく、思考力や判断力、プレゼンテーション能力などなんだな」「ということは知識はあまり重要ではなく、がり勉しても意味はないということなのかな」などと思ってはいけません。
全ての基礎になるのが知識、技能です。知識なしに主体的に考え、表現ばかりしているのはただのお調子者、おしゃべりでしかありません。
大学入試で皆さんに求められる高等学校段階までの勉強については、「役に立たない知識をむりやり詰め込んでいるだけの教育だ」などという批判もよく目にします。しかし、大学側は全くそんなことは思っていません。入学してくる学生に身につけておいてほしい知識だからこそ、問題にしているのです。
「今勉強していることが将来どんな役に立つか全くわからない」という人は、ぜひ東京大学のホームページを見てほしいです。なぜこの勉強が必要なのか、ということについて明快に書いてあります。
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu03/e01_01_18_j.html
大切なのは知識をもとにどんなアウトプットを出せるのか、ということです。知識は大前提ですから、自信をもって受験勉強をしてください。必ず大学での学びの基礎となって活きてくるものです。

まとめ

今皆さんがしている勉強には、様々な意味があります。しかし、それを自覚して取り組めている人はどれくらいいるのでしょうか。
この記事を読んでくれた皆さんはもう、受験勉強の意義を考えてくれたと思います。ぜひ、自分なりにさらなる意味を見出してほしいです。
受験は大変ですが、ただ大変だったな、という思い出で終わるだけではもったいないです。私は大学受験という経験を通じてこんな力を身につけた!と自信をもって大学に行けるような皆さんになっていただければ嬉しいです!

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