大学入試の英語で配点が大きい英文読解ですが、いきなり下線部訳や長文読解に取り組んでも効率が悪いだけで、時間に見合った点数を取ることができません。いったん英文読解の問題集を封印しても、まず単語と英文法をしっかり身につけるのが早道です。今回は英文法の勉強の考え方から英文読解学習のコツをお話しします。
英文法の勉強法
英語は積み重ねと言われますが、中でも英文法は、急いで上の分野をいくらがんばっても、下の分野が理解できていなければ実際の試験では抜け、モレで小刻みに減点されてしまいます。
ここで、苦手な人が多い関係詞の典型的な問題を見てみましょう。空欄に入るのは、whichとwhereのどちらでしょうか?
This is Tokyo Sky Tree ( ) I visited last year.
最も良くないのは、「場所が先行詞でwhereを選ばせるのは引っ掛け」という入試テクニックを使ったパターン解法でwhichを選ぶことです。たしかに正解はwhichですが、同じ正解でも
「visitは他動詞なので目的語が必要で、目的語になれるのは名詞の仲間。しかしこの文にはvisitedの後ろに名詞がないので、空欄は名詞に代わる関係代名詞which」
と、きちんと理屈で考えて正解に至らなければなりません。
英語は基礎(単語と英文法)が重要で、これができていなければ英語の力は穴だらけですが、反対にこの2つができていれば、下線部和訳も長文要約も下線部の説明も、完璧とは言えなくても大きく外すことはありません。
英文読解の勉強法
さて、いよいよ読解問題の対策をする段階に来ました。読解というと、皆さんはまず「英語を日本語に訳す」→「日本語で考えて問題を解く」という形の勉強を考えると思います。ところが、英文と日本文とでは語順を始め文の構造が違うので、訳から始めるとまず意味の通った日本文にするのに時間がかかります。
そのため、日本語に直さず英語のまま読み下して意味を取る練習を最初にしましょう。それには、繰り返しになりますがこの段階までに単語と英文法を固めておく必要があります。その際とても大切な英文法の考え方は、「どこからどこまでが1つのグループ(かたまり)か」ということです。たとえば
Whether Japan supported or opposed the US policy on Iraq has become irrelevant.
これは「日本がアメリカの対イラク政策に賛成したか反対したかはもはや問題ではなくなった。」という文ですが、この中で最初のWhetherからIraqまでの10語は文の中では1つの名詞としてのグループです。
このかたまりを瞬時にとらえるには、英文法の知識で「接続詞whether + 文(Japan〜Iraq)が一緒になって1つの名詞を作る」と理解できることが必要です。これができれば、訳さなくても英語を読み進める上で大きな力になります。
次に、読解問題で覚えておいてほしいのは、「答えは必ず本文中に見つけることができる」ということです。例えば答えを選択肢から選ぶ問題で、本文中に
Whether Japan supported or opposed the US policy on Iraq has become irrelevant.
と書かれていたとします。これがそのまま選択肢として出ることはあり得ません(全員正解では入学試験になりません)。そこで実際の問題では、同じ意味の文を選択肢の中に含めます。例えば
It is no longer important that there was an argument in Japan regarding US policy on Iraq.
これは、Whether〜(〜かどうかということ)をargunent(議論)に、またirrelevant(問題ではない)をnot importantに置き換えていますが、このように全体の表現や構文を変えて、単語力と文法ができていなければ解けないようにします。こういう問いに対応するために、まず単語と英文法をしっかり学ぶのです。
読解が苦手だからといって焦って読解問題に取りかかるよりも、極端に言えば単語帳1冊と文法の問題集1冊を徹底的に学習し、あとは過去問対策をするといった方法で難関大学に合格する読解力を養うことができます。
難関校対策などレベルの高い問題に時間をかけて取り組んでいるのに、模試で得点が上がらない人は、一度基本レベルに絞って集中するのが良い方法です。これによって伸び悩んでいた成績が一気にに上ったという人はたくさんいます。がんばってください!