大学受験の勉強を進める中で、「やる気が出ない。。」という状況にならない人はきっといないでしょう。やる気の出ない原因は様々です。是非とも自分のやる気を削ぐ原因と向き合って欲しいところですが、だいたいにして、そういう気持ちすら起こらない、ということも少なくありません。
今回はそんな時の即効薬として試してもらいたい、勉強のやる気を出すたった一つの方法をご紹介したいと思います。
大海原に放り出されたボート
少しイメージをして見て下さい。あなたは今、大海原に小さなボートでただ1人で浮かんでいます。周りは一面水平線の彼方まで海で、海の向こうには空しか見えません。船も陸地も何も見えません。ボートにはオールが2本ある以外は何もありません。携帯電話もスマートフォンももちろんありません。
この状態で、あなたはどこに向かって必死にボートを漕ぐでしょうか?漕いでも漕いでも漕いでも、周りは空と海だけ、です。
こういう状態で、「やる気を出してボートを漕ぐ」というのはかなり難しいことですよね。なぜならば、それが一体なんのためになるのか、どこに行き着くのか全くイメージができないからです。これが、多くのやる気の出ない人の状況におけるゴールイメージの喪失感、です。
しかし、ここに1つの変化が生まれました。
東と北の間、距離にして1キロぐらい先に、小さな島が見えて来ました。島にいけば誰かがいるかもしれません。食べ物が何か手に入るかもしれません。なんと言っても少し落ち着くことができます。
そうなると、俄然あなたの中に意欲が湧いて来ます。疲れていようが、しんどかろうが、あの島まではまず行ってみよう。漕いで行こう、という意欲が明確に湧いて来ます。そしてきっとその島にたどり着けるはずです。
これが「スモールマイルストーン」というものです。目に見える範囲にある、実現可能な目標、まずはそこに向かっていく、そしてそれを達成し続けていくということです。
意欲ややる気のわかない時には、このような「すぐに手の届く」スモールマイスストーンを作っていくことが大いに手助けなります。
スモールマイルストーンの作り方
スモールマイルストーンはなんでもいい、というわけではありません。効果的に活用していくにはいくつか注意して行きたい点があります。
まず、学習意欲が著しく乏しい、明らかにゴールイメージを見失っているようなケースでは、できるだけ単純でわかりやすいマイルストーンの設定から取り組む必要があります。
ここでの鉄則は「必ずできる」マイルストーンを設定する、ということです。それを「1週間単位」で設定しましょう。
・英語の長文演習を毎日1題ずつやること
・数学ⅠAの青チャートを毎日2題ずつやること
・古文の助動詞の活用表を今週中に暗記する
などなど。
大事なことは、
・実施できたかどうかが、確実に判定できること
・確実に達成できる内容で(いきなり偏差値を5あげるとか、そういう届きそうもない島を設定してはいけません)
・そのために何をすればいいのかが、具体的にイメージできる
ものになります。
そして、何より重要なことは、「それが達成できた時のご褒美」を設定しておくことです。例えば、きちんと上記3つをクリアできたならば、今週の日曜日は思いっきりゲーム三昧にする、とか、渋谷に遊びにいく、とかでいいです。このご褒美をきちんと自分で設定していくことが何よりも重要なところになります。
高3のOくんの事例
中堅上位のOくんは自他共に認めるチャラ男。理系で3年ですが、どうしても勉強に身が入りません。既に7月になっても、自分でもだめだなあ、と思うけれどもなかなか勉強にしっかり向き合えていませんでした。
そこで彼はアドバイスを受けて、7月3日(期末テストの終わった日)から7月9日までの1週間に以下のような目標を立てました。
・英単語を200個暗記
・数ⅠAの重要問題集を20問
・物理の良問の風を10問
これを実施できたら、7月10日は彼女と新宿に遊びにいく、という内容です。これを彼女に伝えて1週間頑張りました。
初日は頑張って取り組んだのですが、2、3日目はほぼ何もせず。けれど、彼女からの叱咤もありなんとか7月9日はやりきり、しっかりと10日には遊びに行きました。そして、次の週もそれを続け、夏休みに入ってからは、ほぼ倍の量を取り組んで行きました。
お盆明けには彼は数ⅠAの重要問題集がほとんどできるようになっており、お盆明けのセンター演習では数ⅠAは8割を超えることができました。その成果が見えて彼が言った言葉は「もっとやれるかも」という一言でした。
そのあと、彼は自分から新しい目標を週間ごとに立てて主体的に勉強に向き合っていくことができました。
まとめ
やる気の出ない時は、先のことを考えてはいけません。もちろん、先のことをしっかりイメージできるならばいいのですが、先のことがイメージできないからやる気が出ないわけで、そういう時は、ただただがむしゃらに目の前のことに、小さなゴールに向かって一歩一歩進むべきです。そうしていくうちに、ふとしたきっかけで急に先が見通せるようになるものです。そのための手段として、スモールマイスストーンを是非活用してみてください。
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