皆さんこんにちは。今回は、世界史の勉強を本格的に始めつつある人、始めようと考えている人に最適な参考書である『スピードマスター世界史問題集』の使い方を丁寧に解説していきたいと思います。また、最近『時代と流れで覚える! 世界史B用語』という類似したものも出版されました。こちらも確認してみたところ、同じ使い方で学力を伸ばせるものになっています。対象とするレベルや内容はほとんど同じですので、ぜひ書店で見比べてみてどちらか自分に合いそうな方を選んでください。
この参考書は長きにわたって世界史受験者から愛されるバイブル的な本で、短期間で通史の内容をカバーできると評判です。私自身も高校3年生になる前くらいに一気に終わらせ、基礎の部分をインプットすることができました。
どのサイトよりも詳しく、具体的に解説を書いた自信があるのでぜひ読んでいってください!!
(この記事で取り扱う参考書は以下です)
それでは解説に入っていきます。
内容と特徴
この参考書は、「世界史の基礎固め」を目的として作られています。徹底して基礎用語の暗記ができるように、内容整理のページと空欄補充問題のページに分かれています。
空欄補充は全て記述式なので、あいまいな知識では答えを埋めることはできません。基本的には単語のレベルは非常に基礎的なものからセンターレベルのものまでとなっており、「基礎事項を確実な知識として定着させる」という目的が明確になっているといえるのではないでしょうか。
特徴としては、なんといっても本自体が薄いということです。基礎事項をしっかり覚える、という目的のためにレベルの高い用語などはあまり入っていません。早慶レベルなどで差をつけられるような知識は問題としては用意されていません。
とはいえ教科書レベル、センターレベルはこの一冊で十分な知識が身につくはずですから、まずはこの一冊を完璧にするように頑張ってみてください。
薄いというのはどちらかといえばメリットのほうが大きく、まずやりぬくモチベーションが保ちやすいということが言えます。
さらに、情報量が圧縮されている分、実際の試験での出題のようにキーワードとキーワードが近い状態で出題されています。
穴埋めになっているところだけではなく、その周辺のキーワードもあわせて勉強していくようにしましょう。
例えば、
ローマ最盛期の五賢帝のひとり(___空欄___)は哲人皇帝とも呼ばれ、『自省録』を著した。
という文章があったとします。ここでキーワードとなるのは、
「ローマの五賢帝」「マルクス=アウレリウス=アントニヌス」「哲人皇帝」「『自省録』」
です。この4つは、それぞれどこが空欄になっていても問題として成立するものですね。
参考書においてはこのうちのどこか一つないし二つが空欄になっています。
穴埋めの部分だけでなく前後のキーワードも含めて覚えることが重要というのは、このことです。
対象者のレベル
この参考書を使うべき人はどんな人か?ということについてですが、これはかなり明確にきめることができます。
それは「授業または講義系参考書を使って通史の勉強を終えた(または、いままさにやっている)」という人。
この参考書はあくまで用語穴埋めの問題集形式のものです。
つまり、流れの理解をしていない状態でこの参考書に取り組んでも全くわからず、ただただ理解をせずに用語だけを覚えるということになってしまいます。
通史と同時並行ですすめていくことが望ましいです。
大前提:世界史の勉強の全体観
これは世界史に限らず日本史にもいえることですが、とにかく流れの理解を大切にしなければいけません。
用語の暗記はもちろん問題を解いていく上で必要不可欠ですし、必ずしなければいけないことです。
しかし、流れの理解なくして用語を覚えようとしても理屈のない暗記になってしまいます。そのようなやり方では、記憶に定着させることができないのです。
この参考書は、一応内容整理のページが設けてあるものの、その薄さから因果関係などの説明が全く不十分です。
教科書や、講義系の参考書を用いて「なぜその出来事が起こったのか」というところはしっかりと理解した上で用語暗記をしなければいけません。
まずは大きな幹となるところを学び、それから枝、葉という細かい部分を勉強していくというイメージで進めていきましょう。
世界史では項目毎の関連性も非常に重要になるので、そのような勉強のしかたで進めていくのが最も効率も良いです。
学習スケジュール
この参考書には1章あたり60個程度の空欄があるので、単純に計算して1800個ほどの用語があります。これを1か月で3周することを目標としましょう。
前提として、その章で学ぶ内容は講義などですでに学習済みのものとします。流れをざっくり説明すると、
①まずは講義(または参考書)で流れをある程度おさえる
②「内容整理」ページをざっと流し見る
③「空欄補充問題」ページに取り組む
別途ノートを用意し、わからないものがあってもとりあえず気にせずに1章ぶん解き切る
④(重要!)答え合わせをしながら、同時に教科書や資料集などを見る 講義の復習をそこでするイメージで
⑤(最重要!)答えを理解した上で、「空欄補充問題」ページのすべての文章を読み直す
空欄だけではなく、その前後も同時に覚えられるようにする
⑥解いた翌日に「空欄補充問題」ページを読み返し、どれくらい覚えているかを再確認する
⑦解いた3日後に、もう一度⑥と同じことをする
これがしっかりとできれば、必ずこの参考書に書いてあることはかなり覚えられるはずです。
⑥⑦は記憶を定着させるうえで特に重要ですから、忘れずに行ってください。
このステップは本気でやろうとするとどこまででも時間がかかるので、簡単にで結構です。
1か月で3周することを目標とするので、最低でも1日3章のペースで進めていくことができれば達成可能です。
1日3章+復習で3章なので、あわせて2時間程度でしょうか。
この参考書は、だらだらと時間をかけて進めても効果は出ません。1か月、短期集中でやりきりましょう。
センターレベルはこれで大丈夫といっても、早慶、GMARCHレベルだとまだまだ知識としては不十分なのもまた事実です。
短期間で完璧にしたらもうひとつ上のレベルの問題集に取り組むことをおすすめします。
2周目、3周目は1周目にできなかったところを重点的に行えるように、チェックをつけておくといいでしょう。
全ての章において正答率が95%以上、少なくとも90%以上は「いつ解いてもとれる」という状態にしておかないとこの参考書、すなわち世界史の基礎は完成したとは言えません。
言うのは簡単ですが、基礎レベルとはいえ実際にそれだけマスターするのはなかなか難しいものです。
その状態を目指し、頑張ってください!
まとめ
世界史という科目は、努力した分だけ確実に成績を伸ばすことができる科目だといえるでしょう。
今回の記事で紹介した使い方で、絶対に必要なことである用語暗記を着実にすすめていきましょう!