本書の特徴
字数ごとに問題が構成されており、50~90字の小論述から始まり、最終章では300字以上の論述まで、段階式にトレーニングを行っていきます。
問題は私大の小論述から国立二次試験の大論述まで幅広く対応しています。必ずしも自分の志望大学の問題形式の問題集が豊富とは限らないので、論述勉強のとっかかりとすることも出来ます。
文字数で構成されているため、時代ごとの網羅性はないが、出題意図をつかみ指定字数以内にまとめる能力を向上させることが出来ます。
解答だけではなく、問題の意図や前提知識の確認、知識の背景が説明されており、解答に至るまでのプロセスも確認できる様になっています。採点ポイントも記されており、自分で作った答案を自己採点しやすいです。
重要事項は赤字で書かれているので、重要事項の拾い読みや赤の暗記シートを使って知識の確認が出来ます。
別解も用意しているので、異なる角度からも自分の答案を見ることが出来ます。
知識の整理の項目があり、論述の前提知識の確認が出来ます。
それだけではなく、序章では、日本史の論述を行うに当たって必要な事項について学べます。
論述問題を解く上での注意事項、原稿用紙の使い方などの初歩の知識も記載されています。
勉強方法
自分のレベル確認
論述の勉強を始める前に自分のレベルを確認する必要があります。論述対策は早い方が良いですが、日本史の知識が無い段階で手を付けても何も書くことが出来ません。
そのため、論述の勉強をするにあたって、教科書レベル、センター試験レベルの内容をぼんやりとで良いので覚えておく必要があります。
勿論、知識は多い方が良いのですが、論述を始める前に完璧を目指すと、論述対策に入れない可能性も高くなります。
ぼんやりがどの程度なのかと言いますと、教科書の内容は一通り学習を終え、用語を見た時に何となくどんな人、出来事なのかを思い出せるレベルとなります。つまり、「あっ!なんか見たことがある!」状態です。
論述の勉強開始
上記のレベルであれば、論述の勉強を効果的に始めることが出来ます。志望大学の過去問を買って、いきなり解いてみるのも手ですが、そもそも論述の勉強をどうすればいいのか分からない人はこの参考書を買うべきです。
この参考書には、論述を書くためにどんなルールがあるのか、どんな思考過程が必要なのかが記載されています。そのため、少ない文字数からじっくり勉強したい人にはこの参考書は向いています。
具体的な使い方
自分で一度答案を書くことが非常に重要になります。自分で手を動かしてみないと、知識があったとしても出題の要求にこたえる様に解答したり、誤字脱字無く文章を書いたり、時間内に解答を作成することは難しいと気づくでしょう。
加えて、膨大な文字数書く必要がある試験もあります。大問1つで通常の試験全体の文字量を超える問題もあります。そうすると手が疲れてしまいます。論述を実際にしてみることで、自分が何をする必要があるのかに気づくことが出来ます。
答え合わせの方法
自分の答案に対して、自分で解答解説を読み、添削をしていきます。この時に、誰が、何をしたか、どんな結果になったかを意識するとより理解が深まります。
また、解説を読んで重要事項は何かを確認し、与えられた文字数に対してどの要素があれば解答として成り立つのかを確認する必要もあります。
また、全く分からない部分や忘れた部分は教科書に戻ってしっかりと復習をする必要があります。
知識の確認も大事ですが、論述の書き方に対する思考過程をしっかりと確認することで、問題が変わっても対処できるようになります。
学習ペース
本書に掲載の問題は文字数順となっているので、進むに従い勉強の負担が非常に大きくなります。
そのため、自分の志望する大学の問題形式と著しく異なる場合、実際には問題を解かず解答解説を確認して、重要事項を理解することに努めましょう。
文字数の量が増えるにしたがって、復習も大変になりますので、最初は1日2題、後からは1題と解く数を変えて対応しましょう。
次のステップへ
この問題集を最低2周したら、過去問演習へと移行しましょう。
この間、当然ながら知識の底上げやセンター試験対策も行う必要があります。センター試験で点数が取れないと、二次試験対策である論述対策の意味がなくなります。
時期を分けると
センター試験:1カ月前まで
→少なくとも日本史の基礎知識を固めながら、本参考書を終わらせる
センター試験:1カ月以内
→論述対策は最小限か無しにして、センター試験対策に全力を当てる
センター試験:終了後
→論述対策に全力を当てる
実際の過去問にあたることで、今まで勉強して得た知識を点数をとるための知識へと変えていきます。
まとめ
センター試験の後に、論述を勉強するというのでは正直遅いです。
選択肢の中から正解を選ぶのと、正解を自分で記述するのは要求されるレベルが異なります。
論述試験に対して、万全な態勢で臨むために上記の勉強方法を試してみてください。