大学は4年間通えば国立でも200万円以上、私立ならば文系でも400万円以上は確実にかかる、費用的に見れば子育ての最後の正念場です。学費は、大学の違い、文理の違いにより大きく違いがあるわけですが、単純な高い安いで比較してもあまり意味がありません。投下した学費に対して、どれだけのリターン(年収)が得られるのか、投資回収の視点からのコスパを考えて見たいと思います。
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分析の仕方
学費は学部ごとによって大きく違いますので、今回は「文系学部の4年間の最低学費」を一律で比較のための学費として採用しました。そして、それに対して、各大学全学部の出身者の平均年収データを取り出し、平均年収がかけた学費に対して何倍であるのか、を計算しております。
これにより、個別の学部については詳細は別になりますが、大学の全体像として、かけた学費に対してリターンが良いのか悪いのか、を比較したいと思います。
首都圏有名私立13校と首都圏国立6校の比較
まず国立と私立を比べて見ましょう。対象としているのは国立が東大・一橋・筑波・千葉・埼玉・横国、私立は早慶上智、GMARCH、日東駒専、です。
国立は学費は変わりませんので平均値=全部の学校、です。私立はそれに比べると概ね倍のコストになっていますが、平均年収では国立の方が100万近く上回っいます。年収÷学費でみると、国立が2.79に対して私立は1.25となっています。コスパ、ということになると論を待つまでもないですね。コスパを考えるならばもう絶対的に学費が安いと言えるのは国立大学です。
私立13校での比較
次に私立の13校を比べてみましょう。輝かしいTOPコスパ校に輝いたのは慶應大学です。他校の追随を許さない圧倒的な高さです。慶應は高い、というイメージがあるのですが文系学部ならばさほどでもないですし、何と言っても年収レベルは群を抜きます。
次に意外とも言えるのが2位に入っている学習院大学でしょう。平均年収はさほど高いとは言えませんが、コストと比べてみると非常にコスパのいい学校と言えます。ここも、学費が高い、というイメージがあるのですが同様に文系学部で見るとさほどでもない、というところが大きな要因です。
次に来る上智・早稲田・明治などはこんなものでしょうというところですが、注目したいのは12位にランクしている青山学院大学です。昨今は駅伝効果やキャンパスがリニューアルされたこともあり人気な訳ですが、残念ながら学費面ではこの中では最高であるにもかかわらず、卒業生の年収はもう一息、というところでコスパ的にはかなり低いところに位置しております。
国立、早慶上智、GMARCH、日東駒専のカテゴリー比較
今度はこの資料をカテゴリーごとに比較をしてみましょう。ここでまず気づくのは、年収の部分で見ると、実は絶対的な年収ではここであげた国立6校の平均よりも、早慶上智ならびにGMARCHの方が高い、ということです。特に、早慶上智はやはり私学の雄という感じで600万に迫る平均年収になっています。
他方でもう一つ目につくのは、GMARCHの学費は結構高止まりしているケースが多そうです。ここでは早慶上智、日東駒専に対して20万程度の差ですが、最低の学費でこれだけ差があるということは、より学費のかかる学部ではもっと乖離が大きくなっていると思われます。
その結果、コスパ的にはGMARCHと日東駒専ではそんなに大きな差とは呼べないレベルになっています。特に、GMARCHに行く人の多くが、早慶国立落ちであったりすることや、高校レベルが中位の学校の上位層の子がしゃかりきになって勉強してとどかしている(要は塾などの入学準備のための費用がかさんでいると思われる)ことを考えると、決してお得な学校群、とは言えないというところです。
それに比して日東駒専は思ったよりも平均年収が高く、伝統校が多いためかさほど学費がかさんでいるケースも多くはないため、コスパとしては決して悪くない、といっても過言ではないでしょう。
年収ランキング全体を見てみましょう
さて、最後にこれら19校のデータを絶対的な年収で並び替えてみましょう。まずは東大と一橋が頭一つ以上抜きん出ていますね。次に慶應が私学のTOPして出てきます。
こうして見ると、大きなことに気づきますね。当たり前かもしれませんが、私立を見ると綺麗に「早慶上智」→「GMARCH」→「日東駒専」の順に並んでいます。見事、です。これを見ると、法政大学は学費の高さとGMARCHというカテゴリーに入ることを踏まえると、年収レベルが低くコスパも悪く出ており、少し考えさせられるところです。MARCHの端っこ、などと言われる遠因かもしれません。
まとめ
投資回収という視点で見たときには、学費が安い、コスパが良いと言えるのは圧倒的に国立です。受験科目が多く大変ですが、まずはこのような観点で見るならば目指せるならば国立を目指すべきでしょう。次に私学で見ると、それなりにネームバリューとは違ったデータが出ておりますので、シビアな目で各大学を見て行く必要があるでしょう。コスパが悪い上に、特段その学校や学部に興味もないまま進学する、などというのはあまりお勧めできることではありません。多面的に大学は調べていきたいところです。