大学を選ぶにあたりまず俎上に上がるのが国立大学を目指すか、私立大学を目指すか、という点ではないでしょうか。いうまでもなく、この2つは学費においては比べ用もない差があります。国立は授業料の平均が年間535,800円、私立文系は746,123円、私立理系ならば1,048,763円です。(Benesse マナビジョンより)学費の面では国立に分があるあるわけですが、では就職ではどうでしょうか?今回は6つのポイントをあげて検討をしてみたいと思います。
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2017年度の就職率は実に97.6%
先日報道されました2017年度卒の4年生大学の就職率は実に97.6%となり、この調査が始まって以来の最高を更新しました。すでに2018年度も採用を増やす傾向にあり、景気の拡大と団塊の世代の退職からくる人手不足から、現在はどこの大学であろうが「望めばどこかに就職はできる」と言っていい時代になっていると言えるでしょう。
就職率だけならば、国立と私立、上位下位に大きな差はなし
では個別の大学の就職率を見てみるとどうか、というところですが、データは少し古く2015年度就職のものですが、1位に輝いているのは長岡技術科学大学です。といっても知っている人は多くはないかもしれまん。2位が福井大学、3位が順天堂大学と続き、4位のノートルダム清心女子大学までが95%を超える就職率になっています。
旧帝大や早慶上智となると、ここのランキングでは30位に一橋大学が91.7%で出てくるのが最上位です。ちなみに、50位以内にもこれらの群の大学は出て来ません。これは、大学院への進学率が高いことが関係性が高いかと思われます。
つまり、どこかに就職するということならば、大学による差は国立と私立で大学の入学時点の偏差値などのレベルによっても大きな差はない、ということになります。
有名企業への就職率となると話は別です
ところが、有名企業400社となると話は俄然変わって来ます。1位が一橋大学、2位が東工大となり、10位までのうち実に7校が国公立大学になります。私立では早慶とともに、豊田工業大学が入っています。この大学はトヨタなどの関連企業の就職に強いことで有名です。
ただ、11位から30位は20校のうち私立が14校を占めておりますので、決して国公立が断然に強いというわけではなく、結局は有名企業に就職している人は有名校の生徒が多い、という一般的にイメージしやすい結論になっています。
地方の国公立は教員養成所?
では、地方の国公立はどのような特徴があるのかというと、何と言っても教員への就職においては地方の国公立大学は圧倒的な強さがあります。ランキング上位10校でも国立大学を7校を占めます。基本的には地方の県名の入った国公立大学では医学部のあるケースを除いてはほとんどが教育学部が学力的には上位になっており、教員を目指すならば狭き門である首都圏よりも地方で、という状況です。
人口では国の10%を占める東京で10位以内に入っているのが学芸大学と日本大学という方や教員養成の専門学校と日本最級のマンモス学校だけという状況で、東京で教員になることの難しさを語っています。
年収はどうなのか?
次は最も気になるところの年収を見て見ましょう。こちらはズバリ、上位10位の中身は実に国立大学が9校になっています。それも、横浜国大を除けばいわゆる旧帝大です。10位から漏れた九州大学も12位ですから似たり寄ったりです。
私立では、慶應が4位、早稲田が11位、東京理科大が13位、上智が14位となっていて、いわゆる早慶上理がそのまま私立のTOPです。
上位50校を見ても、国公立が33校の私立が17校なので国公立のダブルスコアです。そして私立については実にいわゆる「偏差値ランキング通り」という状況であるのも特筆すべきところです。
国公立は公務員に強いから年収が高い?
ここで検証ておきたいのは、なぜ国公立の方が年収が高く出やすいのかということです。それは実は、国公立大学の方が圧倒的に公務員への就職率が高いことが因果関係が強いかと思われます。
この東洋経済さんのランキングをみると、なんだ私立が強いじゃんと思うかもしれませんが、ランキングの50位までを就職者数ではなくて、実就職率で並び替えると全く違った結果になります。
1位 愛知教育大学 2位 金沢大学 3位 埼玉大学 4位 岩手大学 5位 文教大学(私立) 6位 弘前大学 7位 島根大学 8位 山口大学 9位 三重大学 10位 静岡大学
といいうように、実に上位10校のうち9校が国立大学です。唯一ランキングに入った文教大学は私立ですがいわゆる教員を輩出す学校ですね。
そこでもう1つ。公務員とサラリーマンの月収の比較をして見ましょう。2015年のDODAさんの調べによると、会社員の平均は 440万円に対して、公務員の平均年収は666万円となっています。この会社員の年収は非正規雇用の方のものは入っていないでしょう。
つまり、国公立大学が総体として就職や年収面で有利なのは公務員への就職が強いから、と結論付けても良さそうです。
まとめ
このように見て来ますと、一般企業への就職を念頭に置き、望ましい就職をしたいと思うならば、国立・私立問わず上位校へしっかりと進学することが求められる言えるでしょう。そして、教員や公務員を目指すのならば是非とも国公立大学をまず第一の選択肢としてあげて検討をしていくべきと言えるでしょう。