受験生の子を持つ保護者にとって模試の結果は非常に気になるものではないかと思います。
一方で単刀直入に点数を聞いたり良かれと思って点数についてダメ出しや説教を行ったりすると、子供から反感を買ったたり逆に勉強のやる気を低下させたりしてしまうことが多いのではないでしょうか。
模試後の受験生に対する接し方にはいくつかポイントがあります。また、受験生が模試結果を受けてその後どのような勉強をするのかは保護者が取るスタンス次第で大きく変わります。
予備校での受験生指導の経験を活かし、保護者におすすめの「模試後の子供への接し方」をご紹介します。
Contents
大学受験における「模試」とは
まずはそもそも大学受験における模試の考え方について理解を深めましょう。
模試は決して点数の良し悪しだけがすべてではありません。点数が絶対なのは本番だけです。
模試で出る点数は「ある勉強対象範囲において現状理解度を示す指標」にほかなりません。
確かに点数が良いに越したことはありませんが、模試で一番大切なのは現状分析を行い今後の勉強計画に役立てることです。
現状分析とは、試験本番で合格点数を出すために今自分に何が足りないのか=課題を把握することです。
課題が明確になれば、課題達成のため具体的に何をいつまでに取り組むのか、本番までの残り時間を考えながら計画を立てることができます。
保護者はこの「模試は点数では無く現状分析とその後の計画立てが重要」ということを押さえた上で受験生に接することをおすすめします。
どのようなスタンスで接するべきか
模試後の受験生と話す際に保護者が取るべきスタンスとは「現状分析と計画立てのサポートに徹すること」と「聴くこと」です。
概して模試が毎回高得点の受験生はほんの一握りしかいません。
子供の点数が低いと心配になる気持ちは分かりますが、受験生に間違った接し方をした結果逆に受験勉強の停滞を招いては本末転倒です。
様々話をしたいことがあってもまずはぐっとこらえて聴く姿勢を大切にしましょう。
模試後の受験生と会話をした結果「現状の課題を発見しいつまでに何をやるのか明確になっている状態」あるいは「その状態に向かって前向きに努力しようと決意した状態」に持って行ければ良い接し方であったといえるでしょう。
具体的なアプローチ方法とは
前項のスタンスを踏まえて具体的なアプローチ方法を紹介します。
1.全体の感触を聴く
まずは全体の感触を聴くことをおすすめします。
ざっくりと「どうだった?」と質問するとよいでしょう。
いきなり「何点だった?」等と点数を聴くと受験生も構えてしまうため、おおまかな感触をヒアリングします。
ここで好感触であれば点数を聴いても良いですが、悪そうで有ればあえて点数は聴かずに次の質問へ移ります。
2.感触を具体化する
次はざっくりとした感触を少しずつ具体的にする質問をしましょう。
受験生から「微妙だった」と答えがあれば「微妙ってどのへんが微妙だったの?」といった質問です。
この質問以降は会話の中で、受験生ができたorできなかったと感じている部分を「受験生自身に話させる」ことで整理させてあげるとよいです。
特に、本人的には勉強したのに取れなかった、あるいは自信があったのに解けなかったといったギャップのある部分を引き出すことをおすすめします。
3.課題と今後のアクションを明確にする
最後は課題と今後に向けたアクションを引き出してあげると良いです。
勉強したのにできなかった部分に「次回に向けた課題」が隠れていることが多いです。
始めのうちは、勉強しなかったためできなかった部分はあまり重要視しなくても大丈夫です。
なぜなら今後のアクションが「とりあえず勉強する」で終わってしまいがちだからです。
課題が分かってきたら今後は課題克服に向けてどうするつもりなのか聴いてあげましょう。
理想は、
1.課題は何か
2.課題克服のために何に取り組むのか
3.いつまでに取り組むのか
を明確にすることですが、多くの場合試験直後の受験生独りでは整理できていません。
一方本人が整理できていいないからといって、ここで保護者側が焦ってはいけません。
へたにアドバイス等を押しつけてしまうと、既に自分の考えを持っている受験生からは反感を買ってしまうからです。
アドバイスしたい気持ちをぐっと抑えて、引き続き聴く姿勢で接することを大切にしましょう。
最後に
おすすめの姿勢は、保護者側はあせる気持ちを抑えて、子供が自分の頭で考えて答えを出す余裕を作ってあげることです。
保護者や指導者が何と言おうとも、結局答えを持っているのは受験生当人であることが多いです。
その中で保護者ができる最大のサポートは、真摯に話を聴くことで子供の頭の中を整理してあげることではないでしょうか。
模試後は保護者のサポートが活きる好場面です。ぜひ活用してみてください。