世界史は山川の用語集を見ますと、概ね5400語くらいの単語が記載されています。5400語!!です。これを「覚える」ための色々なテクニックがたくさん紹介されていますが、いくら受験のためとはいえ、5000語もの用語を「覚える」勉強はとても大変ですし、人の物語としての歴史、を学ぶスタンスとしても決して褒められたものでもありません。
また、次回の学習指導要領では世界史と日本史が合併し「歴史総合」として生まれ変わる予定です。近代以降については高校生全員が世界史と日本史を必修とする予定で、世界の歴史は日本人としても必ず身につけていくべき、という見解が示されています。
次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ(文部科学省)
今回はその世界史の暗記不要の少し見方を変えた勉強方法をご紹介します。
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世界史は地球史。中央と地方・辺境に分けて考えよう
世界史の取り組みにくさは、中国史があって、ローマ史があって、イスラム社会があって、世界のあちこちで同時多発的に色々なことが起こっていること、それにより、時系列の縦でのその国の歴史と、時系列の横での世界各国のつながりを見なければならないこと、があると思います。
日本史ならばここは、日本のことだけを学べばいいので、時系列を横で見る、ということについては考える必要はあまりありません。入試、の対策としては。
そこで、世界史についても、この「時系列縦にたくさんの国について学ばないといけない」という煩わしさを取り除いて見ましょう。つまり、世界史は一つの「地球史」と捉えて、この地球の歴史を学ぶ、として見ると考え方が変わります。
例えば、日本史で見ても、奈良時代は奈良が中心ですが、その期間は100年もありません。そして、奈良時代ならば、圧倒的に奈良でのことを中心に学びますが、平安京に移ってからは、その学習の中心は京都になるわけです。次は鎌倉、ですね。で、奈良はもちろんその後もいろんな形であるわけですが、ほとんど触れることはないですよね。この先出てくるのは、後醍醐天皇が南朝開く50年くらい、です。
つまり、一国の歴史を学ぶときは、必ず「中央」での出来事と、「地方や辺境」での出来事に分けて考えます。世界史も地球史と思えば同様で、時代ごとの「中央・中心地」と「地方・辺境」に分けて考えて見ると見方がシンプルになります。
世界の中心で歴史を学ぶ
ですので、世界史を改めて学習して行くにあたり、まずはじめにしっかりと抑えて行くのは、この地球においてその時代の「中心」と言える国や地域を中心に確認して行くべきです。具体的には、
エジプト文明→ギリシャ文明→ローマ帝国→隋・唐→神聖ローマ帝国→モンゴル帝国→ルネサンスと大航海時代→絶対王政→産業革命と市民革命→帝国主義→第一次世界大戦→第2次世界大戦→冷戦
という流れをまずは抑えて見ましょう。冷戦後の現代は少しはこの形で抑えて行くのは難しいです。それくらい世界は多様化多局化していますね。
人の歴史には流れがあります。流れには中心があります。その中心地で何が起こってきたのか、中心がどのように変遷してきたのか、まずはそこを抑えて行く、メインストリームを抑えることが世界史学習のスタート、です。
中心を軸に、地方と辺境で何が起きているかを整理する
地方を学ぶときは必ず中央との繋がりを確認する
次に、中心、中央ではない地域の出来事については、国の前後のつながりも大事なのですが、まずは地球という軸に照らして、その時代のチュ王では何が起きていたのか、ということを常に確認しながら学習して行きましょう。
例えばインドのムガール帝国が隆盛を極めた頃、世界の中心で何が起きていたか、それを常に確認しながら各地方の出来事を整理して行く、という形です。ムガールでアクバル大帝が頑張っている頃には、ヨーロッパでは大航海時代の結果としてイスパニアが隆盛を極めていて、同時代にレパントの海戦とかが行われて、その後にイングランドが無敵艦隊を破って、そして、その後に東インド会社を作っているわけです。
中央と地方のつながりほど歴史をワクワクさせるものはありません。
世界史年表を必ず片手に
ここで学習のお供としてオススメしたいのが、超古典の部類に入る吉川弘文館の「世界史年表・地図」です。
これは、みると卒倒しそうなボリュームで各年代の世界の出来事が横に並んでいます。
別にこの内容を覚えるために使う必要はなくて、ただ、常に自分がロシアについて勉強をしていたとしたら、モスクワ大公国ができた時にルネサンスではどういうことが起こっていたのか、などが一目でわかるのは、この年表を他においてないでしょう。
当然、年表の逆側を見れば今度はその時にアジアで何が起きたか、を確認することができます。この年表は歴史を勉強する上で、一気に視野を広げてくれる宝物、です。
さらに、各年代ごとの世界や地域の分布図や勢力図が詳細に乗っており、ここも必ず確認をして起きたいところです。例えばアフリカの分割、とかについてを地図なしに言葉で学んでもなんだかわかりにくいですが、地図で見ればいかにイギリスが要所を押さえているか、が一目瞭然です。
世界史辞典でさらにパワーアップ
そして、さらに言えば、旺文社の「世界史辞典」も一緒に置いて起きたいところです。用語集ではなくて、辞典で、です。言葉は悪いですが、山川の用語集が定番ですが、面白くない、ですよね。それに比べて、世界史辞典は約7200の見出しがありますが、説明がストーリー仕立てになっており、Aは◯◯という単純な構図でないところが頭に入ってきます。辞典、というだけあって情報量も多く、周辺知識が補充しやすいです。
また、この学習時の情報収集の友は、もちろんスマホでもGOODです。わからないこと、知りたいことをその場ですぐに調べる、ということであれば、辞典でもスマホでも同じです。ただ、一応、ウキペディアとヤフー知恵袋が出てくることが多いと思うのですが、稀に内容が正確でないことがある、ということは念頭に置いて起きましょう。そんなに多くありませんが。
世界史は、いわゆる書いて覚える暗記は不要!
このように中央での出来事を押さえ、地方の出来事と中央の出来事を照会しながら学習し、年表と地図と辞典でも情報を統合しながらちしきほほじゅうしていきます。しかし、これまでの取り組みで「暗記」には触れてきませんでした。
冒頭の通り、世界史の用語は山川の用語集だけでも5400ありますが、このような勉強をしてくる限り、暗記を意識した学習は不要です。少なくとも、用語を「書いて覚える」ことについては全く不要です。
例えば、日東駒専レベルの学校については、基本的には世界史はマークの学校がほとんどです。MARCHレベルでも、記号と用語記述の併用ですが記述を中心とした問題を出しているのは中央大学くらい、と言っていいでしょう。
早慶上智でも、上智はマーク、早稲田の政経だと、記述の用語はこんな感じです。
<2014年度>
ラサ、淮河、朝鮮、民主、僭主、デマゴーグ、民会、トルデシリャス条約、サラゴサ条約、ブルネレスキ、大法官、サン・ピエトロ大聖堂、ホーエンツォレルン、ブランデンブルク、フリードリヒ=ヴィルヘルム4世、ルール
慶応経済だとこんな感じ。
<2012年度>
ダランベール、ディドロ、コルベール、総理各国事務衙門
これらの用語、しっかりと学習を重ねていった結果としてかけないと思いますか?もちろん、書けないものもあるかもしれません。でも、それは1つとか2つで、その1つとか2つのために、用語記述を一生懸命取り組むのは、時間の無駄、です。そうするくらいならば、楽しく出来事の因果関係を多面的時学んで行く方がずっと効果的です。
受ける学校が、用語記述を5割以上課すような場合にのみ、直前50日くらいで集中的に取り組んでくれれば、十分に対応できます。
まとめ
世界史は地球という1つの国の歴史と捉えて、中央をまずしっかり学び、次に地方や辺境を、中央との繋がりを確認しながら、年表・地図などの情報統合しながら学習していきましょう。それを重ねて行くことで、用語暗記、については限りなくその負荷を「0」にして行くことで、世界史の学習時間を、受験勉強の中のオアシス、楽しい時間、に変えて行くことができます。
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