【記述試験対策】本番で、しなくてもいい失点を避ける答案作成術

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試験本番では、実力を出し切ることが何よりも必要です。そのために、答案用紙に向き合う前に、例えば「前日は十分な睡眠をとる」とか、「直前の時期は体調を崩さないように気をつける」とか、あるいは(「きっと勝つ」「いい予感」のように)「ゲンをかつぐ」とかいったことをしますね。


でもそれ以上に重要なのは、答案用紙に向き合ってから、「しなくてもいい失点をしない答案を作成する」ことです。

今回は、特に英語の場合について、そのポイントをお話ししましょう。ただ、英語以外の教科にもあてはまる部分はいろいろと出てくると思います。

設問文の指示をしっかり読む

センター試験のようにマークシートの場合はあまり気を使わなくてよいかもしれませんが、記述式の問題のときは、設問文の指示をしっかり読まなければなりません。

「言われなくてもわかってるよ」と思うかもしれませんが、受験生のみなさんの答案を添削していると、意外と多いのが、設問文を読んでいないか読み流してしまっていることが原因のミスです。

【ダメ】「記号で答えなさい」と指示されているのに、単語で答えてしまう

設問文で「空所 (1) に適するものを、次のア~オから1つ選んで記号で答えなさい」と指示されているのに、記号で答えずに選択肢の単語を書いてしまうというミスは、学校の試験ならば場合によっては一部減点で済むかもしれませんが、入試本番ではまず得点なしになります。

ありがちなのが、解答欄がカタカナ1つを書くにしては広めに作られていて、選択肢が単語1つの場合で、なおかつその設問がさほど難しくない熟語・文法の穴埋め問題になっている場合です。例えば、”The committee was made up _______ ten members.” の穴埋め問題の場合、設問の指示をろくに見ずに問題本文を読んでしまうと、「ここに入るのはofだな」と頭が先走ってしまうのです。

思い込みとは恐ろしいものです。試験とは関係なく日常生活の中でも、「こないだ表紙が青い本をちらっと立ち読みしておもしろかったので、今日再度書店に来たときに買おうと思って探したのだがなかなか見つからなかった。実は青ではなく黄色の表紙だった」といったような事例は、身の回りにあふれています。

試験本番では「絶対に失敗できない」とか「時間を有効に使わねばならない」といったことで緊張感がことのほか高く、切羽詰っています。そういうときは勢いのようなものがついてしまうので、いったん「これだ」と思ったあとで立ち止まって、「本当にこれでいいのか」と問い直す(確認する)ことは、なかなかできにくいものです。

だからこそ、普段から、思い込みで動かずに、設問文をしっかり読むという習慣をつけておくことが必要なのです。

【ダメ】字数・語数が極端に多い、または少ない

記述式の試験で、「要旨を100字以内の日本語でまとめなさい」とか、「自分の考えを70語程度の英語で述べなさい」といった問題があります。その場合、答案の中身だけでなく、字数・語数が設問条件に適合しているかどうかも採点対象となります。(なお、日本語は「字数」、英語は「語数」で数えます。)

指定の字数・語数を無視して書き始めるなどということをしないように、問題用紙を読んだときに字数・語数の部分に下線を引いたり○で囲んだりして、丁寧に確認するクセをつけましょう。

「100字以内」、「70語以内」のように上限が定められている場合は、その上限を超えてしまった答案は、どんなに内容がよくても、採点対象とならない(0点になる)ものと考えておきましょう。

「80字以上」、「60語以上」のように下限が定められている場合も同じです。下限に満たなければ0点です。

「○字(語)程度」と指示されている場合は、その「○字(語)」になるべく近い字数・語数で答案をまとめるのが、不要な失点を防ぐためには最善策です。明確な目安が必要なら、許容範囲は上下1割と考えておくのが無難でしょう。「100字程度で」ならば「90字~110字」だし、「70語程度で」ならば「63語~77語」(近いところで「65語~75語」と考えてよいでしょう)。

※設問条件の文字数・語数がもっと多い場合は上下2割を許容範囲と考えてもよいかもしれませんが、指定されている文字数・語数が2桁の場合に2割を許容範囲と見てしまうのはやや危なっかしいです。

見直しをしっかりする

受験生のみなさんの答案を添削していると、「答案を書くときは集中しなさい!」と怒鳴りたくなることが時々あります。科目ができる・できないの問題ではなく、集中していればありえるはずのないミスがあるのです。

【ダメ】1つの文章の中で、同じ単語のスペルがバラバラ

ある程度の分量のある自由英作文の答案を採点しているときによく遭遇するミスですが、同じ単語を何度か使う場合、出てくるたびに綴りが違っているということが、意外とよくあります。さほど難しくはないけれども、うろ覚えになりやすい単語とか、ぱぱっと書くと間違えやすい単語で頻発します。例えば、1行目ではreceiveと書けているのに、3行目ではrecieveになっている、といった例です。「グローバル」がglobal(正しい), gloval, grobalと3通りになっていたこともあります(うろ覚えにもほどがあります!)。

単にうろ覚えになっていることが原因ならまだしも、場合によっては「うろ覚えで不確かなので、何通りか書いておけばどれかは当たるだろうと思って、わざとスペルをばらばらにしてみた」という事例すらあります。

1ヵ所正しく書けていても、ほかのところでスペルが間違っていれば減点されますから、スペルをばらばらにして答案を作成することに意味はありません。逆に、「不真面目」という印象を与えてしまうのがオチです。意図的にスペルをバラつかせるのはやめましょう。

意図的にやっているのではなく素で綴りがバラバラになってしまうのは、十分な見直しをしていないことが原因です。見直していれば、「あっ、ここ、receiveなのに、recieveって書いちゃってる!」と気付いて直せるはずですからね。

はなっからスペルを覚えていないことが原因であろうが、見直しができていないことが原因であろうが、スペルのミスは同じように減点されます。本当は正しく書けるのに、見直しを怠ったがためにスペルミスのまま答案を提出してしまい、減点された……などということは、絶対に避けなければなりません。

答案を書いたら見直しまで、集中して行うクセをつけましょう。

まとめ

筆者が高校生のとき、上述したようにスペルがバラバラになっているのが原因で減点されたときに、英語の先生から厳しく言われたことがあります。次のようなことです。

受験勉強の段階での試験や模試で、難しい問題で間違えて失点するのはいい。実力がまだそこまではついていないということだからだ。単語を覚えていなかったのなら、覚えればいい。努力で何とでもなる。うろ覚えの単語は、答案が返ってきたときに、正しいスペルをその場で紙に10回書いて、その場で覚えてしまえばいい。

だが、しなくてもいい失点は、しちゃダメだ。実力があるのに、不注意が原因で失点するのは、努力以前の問題だ。気を引き締めて、集中していけ。『試験で実力を出し切る』というのは、そういうことだ。

ややかっこよく書きすぎた感はありますが、内容としてはこういう指導でした。

この先生には、とても重要なことを教えてもらったと思っています。

普段できないことは、「いざというとき」にもできないということを、スポーツ・運動や、それこそ避難訓練などでも、みなさん実感していると思います。そのために、普段から「余計な失点をしないこと」を心がけ、設問指示をしっかり読み、見直しをしっかりすることを習慣化して、本番に臨んでいきましょう!

 

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