予備校を合格実績を加工して比較して見ると本当の姿が見える?

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大学受験のための予備校を検討するにあたっては色々な視点があります。カリキュラム、費用、合格実績、授業スタイルなどなど。今回はその中でも、合格実績に絞り、公表されているデータを少し変わった目線で分析してみたいと思います。

合格実績を横並びで比べても正確ではない

例えば29年度入試の合格実績の上位を見ると上の表のようになっています。

東大を見れば、駿台ー河合ー東進ー鉄緑会の順になっています。早稲田だと、鉄緑会はデータの公表すらなく、河合ー駿台ー東進ーSEGの順になっています。では、東大ならば駿台、早稲田ならば河合が強いのか?といえば、そうは問屋が卸しません。

まず現実的なところとしては、言われていることは「各予備校の合格者数を足し合わせると、はるかに大学が公表している合格者数を超える」ということがあります。例えば慶応大学の29年度の合格者数は7968名ですが、駿台+東進+河合の合計ですでに8604名になっていて訳がわかりません。

また、合格実績が現役だけなのか、現役+浪人なのかによっても見方はだいぶ違います。あるいはそもそもそれぞれの予備校の在籍人数はいくらなのか、鉄緑会はそもそもが在籍数は1学年500名程度しかいませんが、大手予備校は万人単位の在籍があります。それを合格者数の実数で比較してもあまり意味がありません。

そこで今回は、合格実績の一覧だけでは見えない各予備校の特徴を、情報を加工して分析してみたいと思います。

早慶上理合計÷東大一橋東工大

まずは、各予備校の早慶上理の合格者数の合計を、東大+一橋+東工大の合計で割ってみましょう。これで見えるのは、最上位国公立の合格者の何倍私大最上位に合格しているか、という比率です。この数字が小さければ小さいほど、国公立最上位に強く、この数字が大きいということは、国公立最上位よりも私大最上位に強い、ということが言えます。

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1番比率が低いのがSEGです。単独教室ですが理系の最上位進学には唯一無二の存在です。この数字が示す通り、駿台などの大手予備校よりも明確に国公立最上位に強い、と言っていいでしょう。鉄緑会がデータがありませんが、おそらくSEGに近い数字になるのではないでしょうか。

この中で見ると、目を引くのは大学受験ではさほどメジャーとは言えない早稲田アカデミーの国公立最上位での健闘です。まだまだ絶対数は多いわけではないですが、もともと中高の受験では厳しいカリキュラムで名を馳せていますので、今後大手3校を追随する可能性が大いにありそうです。

TOMASや栄光は個別指導や集団塾の大手ですが、最上位国公立の受験には一歩劣っている、ということになりそうです。

GMARCH÷早慶上理

次にGMARCHの合計数を、早慶上理で割ってみましょう。みられる状態は同様で、私大最上位に対して、一つ手前のGMARCHがどのくらいの割合になっているか、というところです。この数字が小さければ、例えば1を切るならば、GMARCHよりも早慶上理の方が合格者数が多い、つまり私大進学においては高いレベルの指導が期待できる、ということです。

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ご覧の通り、1位と2位は変わらずSEGと駿台です。SEGは特殊なところがありますので度外視しますと、駿台は1を切るという実績になっており、やはり高いレベルの進学に強い、ということがうかがえます。また、早稲田アカデミーがここでもほぼ1、という数字になっており、国公立との比較と同様に高いレベルの進学に対しての強みを発揮しています。

他方で、河合と東進については、この指標においてはTOMASと早稲アカの後塵を排しており、大手ならではの幅広いレンジの対応に長けている、という見方ができそうです。

さらにもう1点注目しておきたいのは、「法政比率」というもので、近年は学習院や日東駒専の上の方とほぼ変わらないレベルになりつつある法政が多い予備校は、少し「ギリギリの対応」をしている感があります。

医大÷東大一橋東工大

最後に全国の国公立私立医大、医学部への合格者数を国公立最上位でので割ってみましょう。これが高ければ、医大進学に実績がある、強み味があると言っていいでしょう。

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ここで注目したいのは、ここで俄然とTOMASが非常に高い比率になっているということです。今回の分析では医大進学の専門予備校は対象としていませんが、TOMASのような個別での指導が医大進学には大いに強みを発揮していることがうかがえます。

つまり、医大への進学を本気で取り組むには、やはり医大の特徴を押さえた受験準備が効果的だ、ということになります。

また、この表では急にここまで具合の良かった早稲田アカデミーが落ち込みます。この辺りは上位進学実績の向上には力を入れているが、幅広い対応、となるとまだまだこれから、という様子が伺えます。

まとめ

このようにしてみてみますと、一口に予備校といっても、自分がどのような学校群を目指していくのかにより、各予備校で強い部分とそうでもない分野とがありそうだ、ということが見えてくるかと思います。特に本編ではあまり触れてきませんでしたが、いわゆる大手に分類される栄光や湘南ゼミナールなどはなかなか上位校進学ということになると強くはない、ということは明白です。

合格実績はあくまで予備校検討の1つの視点でしかありませんが、公表数値をそのまま鵜呑みにせず、違った角度から分析すると、違った姿が見えてくる、ということをは心にとめておきたいところです。

 

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