【英語の基本確認】可算名詞・不可算名詞と数・量の表現、無冠詞の複数形など、基本事項まとめ

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「受験ラボ」読者のみなさん、あけましておめでとうございます。本当は年頭のご挨拶は松の内、つまり6日までにおこなうのですが、私の担当は今年は今日が初回なので、この場でご挨拶申し上げました。受験本番を控えてコンディションの調整に入っている方もいらっしゃるでしょうし、「いよいよあと1年かぁ……」と緊張感を高めつつ受験勉強に本格的に取り組んでいこうとしている方もいらっしゃるでしょう。みなさまそれぞれにとって、実り多き一年になりますように!

さて、前回のコラムでは、「可算名詞」と「不可算名詞」について、基本的なことを確認しました。今回はより実践的に、英語の名詞の使い方について解説しましょう。受験生のみなさんの英作文の答案でよく見る間違いに基づいて書いていきますので、受験直前の方も「直前の基本チェック」のつもりで改めて確認してみてくださいね。

数・量を表す表現の使い分け

「可算名詞」はmany, 「不可算名詞」はmuch

「多くの~、たくさんの~」と言いたいとき、可算名詞についてはmanyを、不可算名詞についてはmuchを使います。どちらにも使えるのが、a lot of, lots ofという表現です(ここだけの話、manyなら1語、lots ofなら2語、a lot ofなら3語ということで、自由英作文の語数調整に使うと有効ですよ)。

  ■可算名詞の例:
  many buildings / lots of buildings / a lot of buildings (多数の建物)
  many people / lots of people / a lot of people (多数の人々)
   *「people(人々)はperson(人)の複数形」と覚えておきましょう。

  ■不可算名詞の例:
  much water / lots of water / a lot of water (大量の水)
  much money / lots of money / a lot of money (多額のお金)

いかがですか。基本的すぎると思った方も、可算名詞は「数」なので「多数」、不可算名詞は数えられないから「量」で考えて「大量」という日本語を当てることなど、改めて確認しておいてください。

これは英語を習い始めてすぐに教わる基本中の基本ですが、受験生のみなさんの英作文を添削していて意外と多いのがこのmanyとmuchの使い分けに関するミスです。不可算名詞にmanyを使ってみたり(× many water, many money)、可算名詞でmanyを使ったまではよいけれど複数形にしていなかったり(× many building)といったミスが目立ちます。全体がどんなによく書けていても、こういうミスをすると確実に1点引かれてしまうので、十分に気をつけましょう。

さて、manyもmuchも、比較級にして「より多い」と言うことができます。比較級はどちらの場合もmoreです。

  ■可算名詞の例: ※moreの後は複数形にすることを忘れずに!
  more buildings (より多くの建物)
  more people (より多くの人々)

  ■不可算名詞の例:
  more water (より多くの水、もっとたくさんの水))
  more money (より多くのお金)

「可算名詞」はfew, 「不可算名詞」はlittle

many/muchとは逆に、「数・量が少ないこと」をいう表現が、few/littleです。可算名詞のときはfewを、不可算名詞のときはlittleを使います。

fewもlittleも、不定冠詞のaをつけると「少しの~」という肯定的なニュアンスに、冠詞なしだと「ほとんど~がない」という否定的なニュアンスになります。例文で解説しましょう。

  ■可算名詞の例: ※これも、fewの後は複数形にすることを忘れずに!
  There are a few stores around the station. (駅前には何軒かの商店がある)
  There are few stores around the station. (駅前には商店はほとんどない)

  ■不可算名詞の例:
  We have a little time. (少し時間がある)
  We have little time. (時間はほとんどない)

few/littleも比較級にして、「より少ない」と言うことができます。many/muchとは異なり、こちらはそれぞれ形が違いますので注意してください。また、この場合は不定冠詞のaはつけません。

  ■可算名詞の例:
  On a rainy day, fewer people use bicycles.
  (雨天の日は、自転車利用者はいつもより少なくなる)

  ■不可算名詞の例:
  LED light bulbs require much less energy than traditional light bulbs.
  (LED電球が必要とするエネルギーは、旧来型の電球に比べ、ずっと少ない)
  *「ずっと~」と比較級を強調するときは、比較級の前にmuchまたはfarを置きます。

こぼれ話: 英語圏でも問題になる間違い

fewerとlessは、英語圏でも非常に間違いが多い単語です。lessのほうが使う頻度が高いせいか、可算名詞にlessを使ってしまっていることが多いのです。原級であるfew/littleを混同するという間違いはあまり見ないのですが、不思議ですね。

私が見たのは、イギリス、ロンドンの食品スーパーの掲示です。あちらのスーパーは、レジの混雑とお客のイライラを少しでも緩和するために、「買う物の点数が少ない人専用レジ」を設けています。自分はペットボトルのお茶1本買うだけなのに、前の人がカゴいっぱいの買い物をしているために延々と待たされる……ということを未然に防ぐための措置ですね。

その「買う物の点数が少ない人専用レジ」の表示が、例えば「カゴの中身が10点より少ない人専用」といったようになっています。そしてその「10点より少ない」は “10 items or fewer” と表されるのですが、ここで文法ミスが生じて、”10 items or less” となっていることがよくあるのです。

下記の写真はアメリカのウォルマートの表示(2008年撮影)。”20 Items of Less” って書いてありますね(「20点」というあたりが、ああ、アメリカだなあ……と思いますけど)。正しくは、”20 Items of Fewer” です。

Photo by Chris Chan (CC BY 2.0)

Photo by Chris Chan (CC BY 2.0)

fewerとlessについて、もっと知りたいという方は、Oxford Dictionariesのブログを読んでみてください。とてもためになりますよ。

「無冠詞の複数形」を使いこなそう

さて、英語では「~というものは」と一般論を語るときは、(「多い」とか「少ない」とか言わずに)漠然と「(可算名詞が)複数ある」ことを前提とするのが一種のお約束であることは、前々回のコラムでお話ししました。例えば「私は猫が好きです」は I like cats. と複数形を使います。この場合の複数形は冠詞をつけません(なお、英語では、欧州の他の言語とは違い、不定冠詞は単数形にのみ使うもので、複数形につけることがありうる冠詞は定冠詞のtheだけとなります)。

もちろん、場合によっては I like the cats. と定冠詞をつけることもあります。しかしそれは、冠詞なしの複数形とは意味が異なります。比べてみましょう。

  I like cats. (私は猫というものが好きだ。猫一般が好きだ)
  I like the cats. (私はその猫たちが好きだ。特定の猫たちが好きだ)

後者は、例えば「うちのオフィスの前の公園にいる猫たち」とか、「実家の猫たち」といったように、限定した範囲内の「猫たち」であることが含意されています。「定冠詞」の「定」とは、そのような〈限定〉の意味です。

一方で前者は、「漠然と猫一般」を言います。

この「無冠詞の複数形」は、英語では非常に出番の多い表現ですが、受験生のみなさんの英作文の答案を見ていると、ここでの間違いがかなり多いです。添削しながらいつも「ああ、この受験生さんもまた、こんなところで1点失っている!」と、思わずボヤいてしまいます。

例えば「自転車は便利だ」と英作文するときに、× Bicycle is useful. としてしまっていませんか? 正しくは Bicycles are useful. です。

A bicycle is useful. というように、不定冠詞と単数形を使って何かを総称することもできますが、とりあえず、減点されない答案を作成することが急務という受験生は、「無冠詞の複数形」を完全に使いこなせるようにすることが必要です。

このことを念頭に置いて、次の日本語文の内容を英語で表してみてください(解答例は記事末尾に)。

  【練習問題】
  1. コンビニ(コンビニエンス・ストア)は私たちの生活で重要な役割を果たしている。
  2. 1990年代に比べ、東京都内の書店は少なくなった。
  3. 日本人は大豆を使った食品 (soy-based foods) を好む。

thisやthatが使えるのは単数形のときだけ

単数形・複数形に関して、受験生のみなさんの答案で案外多いミスに、thisやthatに続けて複数形を置いてしまう、というものがあります。thisやthatは単数形のときしか使えません。複数形につけるときは、theseやthoseにしましょう。覚えづらければ、this pen / these pens, that book / those booksのように、簡単な単語で頭の中で確認できるようにしておきましょう。

  例文:
  These pupils are visiting this factory on a school field trip.
  (これらの学童たちは、学校の社会科見学でこの工場を訪れている)

このthis/these, that/thoseもまた基本中の基本ですが、ミスが多いのです。原因は、明らかに、見直し不足です。

このミスは、単数形で書いてしまった単語を複数形に直したときに、thisやthatはそのまま放置してしまう、といった場合に生じることが多いようです。答案が「thisじゃなくてtheseですよ」と添削されて戻ってきて「あっ、やっちゃった!」と思ったことがある人は、文法の復習よりもむしろ、見直しの徹底を心がけるようにしましょう。

まとめ

英語の名詞の単数形・複数形の使い方は、「基本」と言われますが、なかなか奥深いし、そもそも「単数形・複数形」を考える習慣のない私たち日本語母語話者にとっては、かなりハードルが高いものです。

だからといって大学入試でミスが見逃されるわけではありません。「細かいところ」とあなどらず、こういうところで減点されてしまわないように、今一度、確認しておきましょう。

そして、答案は提出する前に、必ず見直しすること!

なお、今回説明したようなことを体系立てて理解したい場合には、文法書を見てみてください。



※練習問題の答え

1. コンビニ(コンビニエンス・ストア)は私たちの生活で重要な役割を果たしている。
Convenience stores play an important part[role] in our lives.

2. 1990年代に比べ、東京都内の書店は少なくなった。
In Tokyo, we have fewer bookstores than (we had) in the 1990s.

3. 日本人は大豆を使った食品 (soy-based foods) を好む。
Japanese people like soy-based foods.
*「○○人」と、ある国民を総称するときは、”○○ people” という形を使うのが確実です。「アメリカ人」はAmerican people, 「イギリス人」はBritish people, 「ドイツ人」はGerman peopleというようにしましょう。(”the Japanese”, “the British” というように定冠詞のtheを使う表現もありますが、まずは “○○ people” の形を使えるようにすることが実用的です。)

 

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