大学受験において「現代文」という科目は多くの人が受験科目として選択する科目ですが、この科目は
・配点の関係上英語や数学、理科社会に比べて重要度が高くない
・勉強法が確立されておらず、どう勉強すれば伸ばせるのかがイメージできない
・勉強をしても問題によって読めるものと読めないものの差があり、伸びを実感しづらい
などといった理由により、後回しにされがちな科目ではないでしょうか。
この記事では、「センスの問題」「できない人は勉強してもできるようにならない」などと誤解されがちな現代文の勉強法について丁寧に解説します。
あなたも今日から正しいアプローチで現代文の力を着実に伸ばしていきましょう!
Contents
多くの人がしている勘違い
はじめに、現代文という科目について多くの人がしている勘違いについて。
皆さん、こんな言葉を聞いた(あるいは、言った)ことはありませんか?
「現代文はセンスで決まる」
「いくら勉強しても、できない人はできないまま」
「どれだけ勉強しても変わらない、意味がない」 など…
確かにこれらは、100%間違っているということはできません。実際に現代文を攻略する上では「センス」と言ってもいい要素は存在しますが、それは決して先天性のものではなく、正しく勉強すれば誰でも身につけることができるものです。
つまり、現代文という科目も、他のすべての科目と同じように「勉強をすれば、その分成績を伸ばすことができる」科目なのです。
では、「センスで決まる」と誤解されがちなのはなぜなのでしょうか?
それを考えるためには、現代文の成績向上に必要な力をはっきりさせることが重要ですね。ずばり、現代文に必要な力は大きく分ければたった2つです。
現代文に必要な2つの力
現代文に必要な2つの力、それは「読解力」と「解答力」です。
考えてみれば当たり前の話で、大学受験の現代文の問題を解くときにはこの2つのステップだけしかありません。
「本文を読み、そこに書かれていることを正しく理解する」
「設問を読み、そこで問われていることに正しく解答する」
この2つの力を伸ばすことができれば、現代文の成績向上につながるといえるでしょう。それでは、その二つの力をさらに細かく見ていきましょう。
必要な力を分析してから、どのようにしてそれぞれの力を伸ばしていくのか、ということも説明します。
読解力
「読解力」をさらに分解すると、「語彙」と「背景知識」と「文意把握・テクニック」の3つに分けることができます。
多くの人が勘違いして「センス」と呼んでいる部分も、ここに重なっていることが多いはずです。
例えば、小さいころからの読書量の多寡によって語彙は現実的にかなり大きな差がうまれてしまいますし、背景知識の理解にも差はでます。
はっきり言ってこれはもう覆すことのできない差です。しかし、大学受験現代文に必要な程度の語彙、背景知識は勉強をちゃんとすればすぐに身につけることができるものである、というのもまた事実なのです。
語彙
ここはかなり今までの積み重ねに左右される部分が大きく、あまり勉強をしていなくても評論文をすらすらと読んでいける人は今までの生活の中でそれを(無意識に)鍛えてきたのでしょう。
英語や古文などと同じく、単語を知らなければ本文を読むことはできません。現代文では今自分たちが使っている言葉がほとんどなのであまりつまづくことはありませんが、中には評論文でしかでてこないような頻出の単語もあります。「普遍」「メタファー」「捨象」など、このような単語はしっかりと意味と文例をおさえておく必要があります。
また、「語彙」には漢字力も含まれます。こちらも、得意な人はいいですが、苦手な人はいちからしっかりと対策をするべきです。
語彙を伸ばすためには、まず何よりも読みと意味を覚えることが大切です。次のようなドリル形式の漢字参考書や、現代文頻出キーワードの参考書を活用しましょう。
背景知識
これはあまり重要視されていませんが、読解力の中でも実際に読解に与える影響が大きいものだといえるでしょう。誰しも、自分の興味があるものについて書かれた文章であればすぐに理解できるものです。実際私は大学で経営学、商業学系統の勉強をしているのでそれに関する文章であれば比較的簡単に文章を理解することはできますが、法学系や工学系の文章を読めといわれてもなかなか読むことができません。
それと同じように、皆さんが普段触れているような文章が現代文の問題として出題されたらとてつもなくラッキーですが、現実的にはなかなかそういうことはありません。大学受験が優秀な受験生を選抜するしくみである以上、多くの受験生にとってなじみの薄い、読みづらい文章がでてくることの方が多いでしょう。
評論文で頻出のテーマとしては、例えば科学、言語、文化、宗教、…などでしょう。これらすべてについて完璧な理解をすることは決して求められていません。必要なのは、鍵となるような概念への理解です。日ごろからアンテナをはり、知らないことがでてきたら薄くでもいいので調べる習慣をつけるとよいでしょう。
こちらも、キーワードの解説が詰まった参考書を使うと効率よく学ぶことができます。この2冊は文章とともにキーワードが解説されており、少し負荷は高いですがしっかりと語彙、背景知識を身につけることができるのではないでしょうか。
文意把握・テクニック
最後に、文意把握・テクニックです。普段皆さんが小説を読んだりするときは好きに読んでもらってかまいませんが、現代文の問題となる文章を読むときにはいくつかポイントがあります。これは「解答力」とも密接にかかわるもので、要するに問題として問われやすいことをしっかり理解するということです。
問われやすいポイントに気をつけて読むというと、文章を通したテーマを理解すること、筆者の主張を理解すること、文章中の対比構造や具体例の構造を理解すること、などがあげられます。
多くの予備校の授業で講師が皆さんに教えてくれるのも、この読解上のテクニックの部分がメインになっているのではないでしょうか。接続詞に○とか△のマークをつけていくというのも、文意把握や読解上のテクニックといえるでしょう。もちろん、これも重要な点になります。
全くここに自信がないという人は、一番は予備校の授業を受けることが効果がでやすいと思います。参考書で対応したい場合は、この2冊あたりが入門書として評判が高いです。
それでは続いて、「解答力」について考えていきましょう。
解答力
実のところ、現代文の成績向上、言い換えれば受験問題でいかに得点していくかということにおいて重要なのは読解力よりもむしろこの解答力の方なのではないかと私は考えています。
しかし、それにもかかわらずこの解答力を伸ばすトレーニングを多くの受験生は怠っているのです。
あなたは現代文の勉強をするときにこのような勉強をしていませんか?
”とりあえず、問題集を解く。解き終わったら答え合わせをして、解説を読む。間違ったところを見直し、解説に納得して、次の問題にうつる”
この勉強法では、絶対に解答力を伸ばすことはできません。
なぜなら、一番大切なことが抜け落ちてしまっているからです。
そもそも「解答力が高い」とはどういった状態でしょうか?目指すところは、「問題集の解説に書いてある解答までのプロセスをコピーする」「予備校の講師が問題を解くときの思考のプロセスを完全にコピーする」というところです。
現代文の勉強で大切なのは「プロセスを理解・習得する」ことであり、過去の問題をただ解けるようになるだけでは意味がないのです。初見の問題に解答するためには、解答までのプロセスを正しく理解していないといけません。上の勉強法では、解説を読んでわかった気になっただけで解答へのプロセスを一切自分の手で再現しておらず、これでは身につくはずがありません。例えるならば、自転車になかなか乗れるようにならない人が、正しい乗り方の映像を見ただけで「明日は自転車に乗れるようになっているはず!」と思っているようなものです。
では、具体的に解答力の伸ばし方について解説をしていきます。
「解答力」をどう伸ばすか
これについては、やるべきことは非常にシンプルです。先ほど述べた通り、目的地は「問題集の解説に書いてある解答までのプロセスをコピーする」「予備校の講師が問題を解くときの思考のプロセスを完全にコピーする」というところです。
現代文の勉強の中で、最も実力が伸びる瞬間は答え合わせをして解説を読んだあとです。そこからが大切なのです。
問題を解き、解説を熟読したのち、「すぐに」もう一度問題を解きなおしましょう。すぐに、が大切で、少し時間をあけてもいいのですが、解説に書いてあった解答までのプロセスを覚えている状態で解くことがポイントです。ですから、解説は間違えたところだけでなく全て読む必要があります。
そして、問題を解くときにも工夫が必要です。それは、「解説に書いてあった思考のプロセスを(できれば口に出して)思い返しながら解く」ということです。
これによって自分の言葉で解説を再現することができるというところがすごいところなのです。この手法は「シャドウティーチング」と呼ばれています。
「シャドウティーチング」をしよう
目指すところは解説や予備校講師の思考のプロセスをコピーするというところにあるわけですから、自分が他の人に対して正しい思考のプロセスを説明できればいいわけです。自分自身が予備校の講師になったつもりで、誰かにプロセスを教えながら解いていくことができればコピーはできます。
このやり方を同じ問題について何回か繰り返すうちに、その問題は「この問題については完全に理解した、解説をコピーして人に伝えられる!」という問題になっていきます。その、「完全に理解し自分のものになった問題」を作ることが正しい現代文の勉強法なのです。これはエネルギーのかかる方法ですが、これをせずにただ問題を解いて解説をなんとなく読んだだけでは、はっきり言って勉強をした意味がありません。
私自身も受験生の時にこのやり方を知り、同じ問題を3~5回は解いていました。隣に誰かがいるという想定で、選択肢を選びながらひとつひとつその仮想の誰かに理由を説明しながら解くという、はたから見たら異常な勉強をしていく中で現代文の文章の正しい読み方を身につけることができたと思います。本当におすすめの方法なので、皆さんも試してみてください。
問題集はいろいろありますが、評価の高い問題集は下の4冊などがあります。上の方ほど難易度が高いそうです。
大切なのは「一冊をやりこむ」という姿勢です。どれだけ問題を解いても、完璧にできなければ意味がありません。一冊を完璧に仕上げましょう。
まとめ
以上、現代文という科目の性質と勉強法について説明してきました。
・現代文はセンスで決まるわけでなく、勉強をすればちゃんとのばすことができる科目
・現代文に必要な2つの力は「読解力」と「解答力」
・読解力も「語彙」「背景知識」「文意把握・テクニック」の3つに分けられる
・解答力を伸ばすために「シャドウティーチング」をしよう
参考書などもたくさん紹介しましたので、今日から現代文の勉強をスタートしましょう!確固たる現代文力を身につけてください。
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