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とにかく公式の多い電磁気
電磁気は、高校物理の中でも苦戦する人が多い分野ではないでしょうか。その理由の一つとして、とにかく公式が多いということが挙げられるでしょう。ようやく公式を覚えてもまた新しい公式が出てきてしまい、こんがらがって分からなくなってしまう生徒が多いようです。電磁気と一言で言っても、そこには電荷の話から電磁波まで、非常に幅広い内容が含まれています。電磁気とまとめて理解しようとすると、覚えた公式達が絡まって、訳がわからなくなってしまいがちです。まずは、電磁気をざっくりいくつかの範囲にわけて考えると、より理解しやすくなるでしょう。
高校で習う電磁気は大きく3分野
高校で学ぶ電磁気は、ざっくり3つの分野に分けることができます。
1)電場(電荷・電位・誘電分極など)
2)磁場(フレミング左手の法則・レンツの法則・ローレンツ力など)
3)電気回路(コンデンサー・オームの法則・キルヒホッフの法則など)
電気の力は1)電場で学び、磁気の力は2)磁場で学びます。個人個人で苦手分野は異なるかと思いますが、比較的難しいと思う人が多いのは、電場の範囲ではないでしょうか。
比較的解きやすい電気回路
この3つの範囲の中でも、比較的解きやすいのが電気回路でしょう。なぜなら、他の分野と比較して覚える公式が少なく、問題の種類も少ないからです。3つの素子に関する公式やキルヒホッフの法則を覚えておけば、多くの問題を解けるようになります。電磁気が苦手な生徒は、まずは電気回路から勉強してみても良いでしょう。
まず押さえるべき基礎の基礎
それでは、電気回路を解くための基礎の基礎を復習して行きましょう。電気回路を解く上で大切なのは、ある電流I(t)または電圧V(t)をある素子にかけた時に、その素子にそれぞれどのようなV(t)またはI(t)がかかるかということです。つまりそれぞれの素子に電流・電圧をかけたときの公式を理解・暗記すれば、電気回路が解けるようになります。高校物理の範囲で出てくる素子は大きく3つ(抵抗・コイル・コンデンサー)ですので、覚える量も少なく理解しやすいでしょう。
以下に示す公式をまずはしっかり理解・暗記して行きましょう。
抵抗(R)
抵抗は一番シンプルな素子です。抵抗は、オームの法則(V=RI)を満足すると考えるので、V(t)=RI(t)の式が成り立ちます。
コイル(L)
磁性体の鉄心に巻線したものをコイルと呼びます。コイルはバネのようなイメージです。バネは伸ばすと縮もうとし、縮ませようとすると反発して伸びようとします。コイルも電流I(t)を増やすと、コイルの電圧がそれを妨げようと大きくなります。つまりそれを式にすると、以下のようになります。
V(t)=LdI(t)/dt
コイルにかかる電圧はこの式の両辺を積分すればよいので、
I(t)=1\L*∫V(t)dt
となります。
これで、コイルにかかる電圧・電流が出ました。
コンデンサー(C)
絶縁物をはさんで2枚の導体板を向き合わせたものをコンデンサーと呼びます。
コンデンサーに電圧Vを加えると、電荷Qが蓄積されます。QとVは比例関係にあり、比例係数をCとして
Q=CV
の式が成り立ちます。ここでCは容量と呼ばれ、単位はF(ファラド)です。Cは導体板の面積Aに比例し、導体板間の距離dに反比例します。よって、絶縁物の誘電率をεとすると、
C=εA/d
となります。
コンデンサにかかる電圧が一定のとき、コンデンサに溜まる電荷Qは変化しません。つまり、電荷Qが移動しないということは、電流の値は0です。コンデンサにかかる電圧Vが変化するとき、コンデンサに溜まる電荷Qも変化します。電流とは電荷が移動することなので、電荷Qの変化はイコール電流です。よって、以下の式が成り立ちます。
I(t)=dQ(t)/dt
Q(t)=CV(t)なので、
I(t)=CdV(t)/dt
となります。
コンデンサにかかる電圧は簡単です。上式の両辺を積分すればV(t)が出てきます。つまり、V(t)の式は
V(t)=1/C*∫I(t)dt
となります。
ここで、以上の内容を表にまとめてみましょう。
表をみると、コイルとコンデンサーの対比がわかります。覚えるコツは、コイルまたはコンデンサーのどちらかの公式だけを覚えることです。そうすれば、もう一方の素子の式は、覚えた式が積分されているときは微分したもの、微分されているものなら積分したものになります。少しでも覚える量を減らせば、暗記は楽になります。
まとめ
今回は電気回路に焦点をあて、3つの基本的な素子にかかる電圧・電流の式を復習しました。
とにかく電磁気は公式が多いので、しっかり公式を理解し、工夫して覚えるのが大切になっていきます。
是非本記事を参考に、問題に向かってみてください。