「世界史って、漠然としてて、とにかく不安」と思ったときに、固めておきたい基礎

old map of the world

受験は世界史で行くことに決めたみなさんへ

知っておいて損にはならない「世界史」の知識

大学受験に際して世界史の人気が上がっているそうです。必修科目であるばかりでなく、グローバル化の時代、世界について知っておくほうが後々都合がよいと考える人が増えているとの指摘もあります。それ自体、とても前向きでよいことだと思います(だからといって日本史や地理などが大事ではないということではありませんよ)。

実際、例えば経済関係の仕事をすることになった場合、あるいは外資系の製造業で国外と取り引きをする立場に立った場合、現代の資本主義がどのように成立し確立してきたかを踏まえておくことは、必須とまでは言わないにしても、あるとないとでは大違いだ、と言います。取引先になった国の歴史についての知識が少しでもあれば、関係の構築にプラスになることでしょう。最新のニュースをチェックする上での理解も、歴史の知識があれば、深まるでしょう。

それから、仕事とは関係なく、楽しみとして外国映画や海外ドラマなどを見る上でも、歴史(世界史)を知っているかどうかでは楽しめる度合いが変わってきます。西洋の絵画などは、歴史に関する知識がなければ、単に「きれいな女の人を描いた絵」などというようにしか見えないかもしれません(そういう鑑賞の仕方もありはしますが、それでは画集を見ても美術展に行っても、すぐに飽きてしまうと思います)。

だから、大学入試で世界史を選択すればいやがおうにも本気で勉強するし、それがゆくゆくは、仕事であれ趣味であれ、実益につながる……と考えるのは、至極、合理的なことです。

でも、「受験勉強としてはどこから始めたらいいのか」と不安が……

しかし、「受験は世界史でいく」と決めたはいいが、具体的にどうしていっていいのかが見えずに不安だ、という相談もまた、よくあります。

何しろ世界史は範囲が膨大ですから、最終的には覚えるしかないということがわかっていても、「では、今からやって最後(受験直前)にどのくらい覚えることができているだろうか……」と考えるだけで不安になってしまうというのです。

「勉強してもきりがないということはわかっているので、勉強する前から不安になる」とか、「不安に駆られてどうしよう、どうしようと思うばかりで、現実逃避して部屋の模様替えやパズルゲームなどをやってしまい、結局勉強しない」とかいったお悩みは、「世界史受験者あるある」です。

最終的には、センター試験や国公立二次試験、私大入試の過去問が、入試突破に必要とされるレベルで解けるようになっていることが必要なのですが、いきなりそこを目指そうとしても、こなすべきことがあまりに膨大。途方に暮れてしまうのも当然です。

いきなり遠くの目標を見ず、到達点を意識しながら一歩一歩を進めていくということ

そこで、発想を変えることも必要でしょう。「千里の道も一歩から」と言う通り、今はまず、「最後にどこに到達していればよいか」を考えるより、「次の一歩はどの方向に踏み出せばよいか、どこに足をつければよいか」を考えるのです。大きな目標は漠然としています。だから、そこに到達するための小さなステップを刻むことを、目に見える具体的な目標にするのです。

テーマ別にしたり、国別にしたりと、「世界史」という漠然としたものを細かく仕切り、さらにそれをまた仕切り、優先順位をつけながら升目を埋めていく……というイメージを抱いておいてから、受験勉強に取り組んでいく、ということです。

その際、最終的にどこに到達していればいいのかを、センター試験なり、二次試験なりの過去問で具体的に把握しておき、勉強の過程で細部にあまりにもこだわって時間を食いすぎてしまうというようなことがないよう、ペース配分に気をつけて進めていきましょう。(勉強しながら楽しみとして細かい知識をつけていくのはマイナスにはなりませんが、細かいことを突き詰めようとしたり、無理やり暗記しようとしたりして時間を使いすぎてしまうことは、総体的に見て、よい結果にはつながらないものです。)

最初に必要となる基礎

そういったことを始める前に、必要な基礎を整えておく必要があります。「受験まで1年」という段階を迎える前に、そういった基礎を完成させておきましょう。

一般常識的な知識

old map of the world

Photo by rosario fiore (CC BY-ND 2.0)

まず最初に、「世界史」というからには「世界」について基本的なことが頭に入っていることが前提です。端的に言えば地図帳的な基礎知識です。中学・高校と勉強してきて、何度もテストを受けていれば言われなくてもわかっているでしょうが、その部分の知識がおろそかだと、教科書の記述でさえもわかりませんし、問題に地図が出てきたときに歯が立ちませんね。

では、「世界」には何があって、そのどれを基礎知識として頭に入れておく必要があるのか……。2018年4月現在、国連(国際連合)には193の国が加盟しています。これは「世界には193の国がある」と言い換えて、ほぼよいでしょう。「クイズ王」的な存在になりたいのなら、これら193の国の名前と場所はすべて暗記しておくのが当然でしょうが、普通に受験するだけなら、「すべて」を暗記する必要はありません。大陸はすべて把握しておく必要がありますが(ユーラシア大陸・アフリカ大陸・北アメリカ大陸・南アメリカ大陸と、世界史にはあまり出てきませんがオーストラリア大陸・南極大陸)、国に関しては主要国を知っておきましょう。

「主要国」というと、通常のニュースなどの文脈ではG7各国(英米仏独とイタリア、カナダ、日本)を指します。アジアに位置する日本にとっては、隣国の韓国、北朝鮮、中国などアジア各国も「主要」な扱いです。また、G7とかぶるのですが、地球規模で西洋諸国(いわゆる「欧米」)は「主要国」扱いをされています。

一方、「世界史」では、西洋諸国のほか、古代文明が存在したエジプトやインド、メソポタミア(今日のイラクの辺り)、中国(およびシルクロード)は押さえておく必要がありますし、19世紀から20世紀にかけて、いわゆる「西欧列強」が世界にとって支配的な立場になる前に大国として強烈な存在感を示したオスマン帝国(今日のトルコ)についても知っておかなければならないでしょう。ユーラシア大陸の大国、ロシアも近現代の世界史を学ぶ上で欠かせませんし、現代史では南アフリカやエチオピア、アルジェリア、スーダンなどのアフリカ諸国、インド、パキスタン、ベトナムなどアジア諸国の存在感がぐっと高まります。

必携の「年表・地図」

どんな勉強方法をとるにせよ、世界史で受験に臨むからには必携なのが、年表と地図です。下記の出版物は、地図のパートは淡々と地図だけが並んでいて(写真などはありません)、世界史でとても重要な「流れを把握する」上でとても有益。受験が終わっても手元に置き、更新が必要になったら買い換えて、ニュースなどを見ながら参照しているという人も多い受験用参考書(資料)です。

ところで先ほど、さらっと「英米仏独」と書いてしまいましたが、これがどの国を指すか、わかりますか? こういった表記がわからないと世界史の勉強はやりにくくなりますが、その点で心もとない場合、まずはこういった一般常識的な基礎知識を確実にしていくことが、よい基礎固めになります。

それができている人は、地図帳を見てわかるようにしておくこと、また、ノート(メモ)を取るときに使えるように、大まかな地図がフリーハンドで書けるようにしておくことが役立つでしょう。

「地理」も「世界史」もつながっている

こういったことは「地理」の分野になるかもしれませんね。しかし、試験では別々の科目になっているとはいえ、「地理」も「世界史」も、そしてもちろん「日本史」も、全然別のものではありません。根っこの部分はつながっているのです。世界を、またある土地をどう見るかによって、別々の科目にカテゴライズされているだけです。

例えば、ある土地の形状や性質、それによってもたらされる気候、その土地の特性に応じた産出品などについて見る場合は「地理」になります。それらの土地の条件からどのように近隣の地域・国との関係が生じたか(例えば海に面したA国で産出される塩が、内陸国のB国の農産物と交換され、交易が生じた、など)という切り口で、時間軸をたどるように見ていくのは「世界史」の分野です。日本国内についてそういった時間軸という切り口が用いられるときは「日本史」です。

そのような構えを整えておけば、地歴の分野の何を見ても「無駄」にはならないという意識ができると思います。それが、学習に際してよい意味で貪欲な姿勢を作ってくれるでしょうし、それは受験勉強でも大いにプラスの方向に作用します。

世界史で受験する人にとって、日本史に出てくる武将の名前だとか、細かい年号といったものは、「覚える意味のないもの」に見えるかもしれません。実際、試験で回答する必要がない以上は、それらの細かい知識は無理やり暗記する必要はないでしょう。しかし、日本史の中には世界史に関連するものがたくさんあります――当然ですね、「日本」もまた「世界」の一部なのですから。だから、最初っから「世界史で受験するんだから、自分には日本史は関係ない」と決めてかからずに、オープンな気持ちで臨んでみましょう。「日本史」の授業をぼーっと聞いてたら、意外にも「世界史」に関して「そういうことだったのか!」と腑に落ちる瞬間があるかもしれませんよ。

世界史であれ日本史であれ、「歴史」という漠然として膨大なものを受験科目として勉強していく上では、「イメージ」をつかむことがとても重要になります。それがつかめないと、いつまで経っても漠然としていて、年号や人名、地名など細かい暗記ばかりの苦痛に満ちた詰め込み勉強にしかなっていかないでしょう。

次回は、その「イメージ」について、少しお話しできればと思います。

勉強の仕方は人それぞれ

8755a86b9e067acb3590829a30e07802_s
少し上で、「英米仏独」がどの国を指すか、わかりますか? というクイズみたいなものを出しました。答えは「イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ」です。「今さら、誰にも聞けない基礎知識」に該当するくらい基本的なことですが、案外、わかったつもりになっているだけの人もいます。それぞれ元は、「英吉利、亜米利加、仏蘭西、独逸」です。この元の漢字表記を見れば「英米仏独」のそれぞれについて、普通に会話するときに使う国名と紐付けができるでしょうし、「仏大統領のマクロン氏」を「ほとけだいとうりょうのマクロンし」と読むようなこともなくなるでしょう。

まったくの余談ですが、今はこの漢字表記も、パソコンの変換候補に出てきてくれますね(実用重視のスマホでは出てこないかも)。筆者の学生時代はパソコンは一般人の使うものではなかったのですが、これらの漢字表記も手書きできるよう覚えました。覚える必要があって無理やり暗記したのではなく、個人的に「ことば」というものにとても興味が高かったので、自然に覚えてしまったのです。当時のノートはもう手元にはありませんが、こういった漢字表記を使って自分なりの「世界史ノート」を作っていました。単に「ベルギー」と書くより「白耳義」と書いたほうが、何となくいろいろなことが頭に入りやすかったのです(そして、そうやって自然に覚えたものは、何十年経っても頭に残っています)。

これを話すと、「わかるわかるー」という反応も時にはありますが、「えっ、まさか」という反応が多くあります。「そんな効率の悪そうなこと、やってられないよ」と。でも、筆者には「白耳義」式の記述をするという方法が、なぜか合っていたのです(誰にでも合っているとは思いませんし、特に勧めるつもりもありませんが、「自分にも合ってるっぽいかも」と思った人はやってみてください)。

このように、勉強の仕方は人それぞれ。自分に合ったように勉強を進めていきましょう。必要なのは、最終的に試験で得点が取れるようになっていることですから。

 

【PR】スタディサプリでテスト対策から難関大対策まで

スクリーンショット 2017-02-11 12.38.53 スタディサプリは高校1,2年生であれば定期テスト対策や受験の基礎固めとして、受験生なら志望校対策として活用できます。スマホで学習を進めていくので、学校や予備校の勉強を平行して進めることができます。 月額980円と一般的な予備校に比べると圧倒的安価で学習が可能なうえ、2週間の無料体験期間もあるので自分自身の勉強の中にどのように組み込むことができるかまずは試してみてください。 詳しくはこちら

【PR】教材の質・難関校受験に定評ある【通信教育のZ会】

c7ev0p00000010h7 詳しくはこちら

【PR】大学・短期大学・専門学校の進学情報のスタディサプリ進学

スクリーンショット 2017-04-23 15.48.26 スタディサプリ進学は、将来なりたい自分探しをサポートし学部・学科選びと学校探しをサポートする進学情報サイトです。気になる学校のパンフレットはこちらから! 詳しくはこちら