大学受験にあたり、どこの学校、学部を自分の目標しようかという選択は、実は勉強そのものよりも頭を悩ませることも多いでしょう。そして、目指すところをどこに設定するかによって、勉強の仕方や方法というのは大きく変わってきます。今回はそのために、絶対に外したくないたった1つのポイント、を2つの事例とともにご紹介していきます。
大学でも学部でもない、学科を選べ!
例えば、早稲田大学がいい!と思ったとしましょう。文系だとすると、選択できる学部は政治経済、法学、文化構想、文学、教育、社会科学、人間科学、スポーツ科学、となります。当然に、政治経済学部と文学部では学ぶべき内容はまるで違います。
そして、文学部ならば文学部で、哲学、東洋哲学、心理学、社会学、教育学、日本語日本文学などなど実に17の学科に相当するコースがあります。教育学部ならば学科だけでも8つに分かれ、さらに専修となると12に分かれます。
ほとんどのケースで、入試時点でそのコースや学科を選択して入学することになります。学科を入学時点で選択しなくていいのは、東大と京大くらいですので、入試時点で「何を学びたいのか」ということについてある程度しっかりと認識をしておかないといけません。
早稲田ならどこでもいい、というようなアバウトな話が是認されるのは今は昔です。就職時にはいかにしっかりと学んできたのか、何を取り組んできたのかをしっかり吟味されますから、そのためには自分が「学びたい」と思えるものでなければ、決してよい学びや研究はできません。
ですから、大学を考えるにあたっては、まず「学科を考えよう」ということが大変重要になります。例えば、考古学について学びたい、と思うならば、早稲田ならば文学部文学科考古学コース、ということになります。あるいは、社会学を学びたいならば、社会科学部社会学科や、教育学部社会科社会科学専修や、文学部文学科社会学コース、というところがあげられます。人間科学部の人間情報科学科も社会学に近い内容でしょう。
その次に、明治ではどうなのか、社会学ならば立教も力を入れている、などなどと広がっていきます。
つまり、まずは自分が学びたい学科をきちんと選ぼう、そこから学部、大学と広げていこう、ということです。その逆は後悔することになりがちだということです。その辺りを2つほど事例を見ながら考えて見ましょう。
環境学を学びたいW君
都内の公立高校に通うW君は理系ですが志望校選びにはかなり悩んでいました。国立にするか私立にするかという選択から悩んでいたのですが、まずは何を学びたいか、学科をしっかりと決めていこう、ということを伝えて、あれこれイベントに行ったり、調べたりしてもらいました。
彼がその中で見つけてきたのが環境に関する分野で、その中でもエネルギーなどの環境資源について学んで見たいということでした。そこで調べてみると、なんといっても資源系ならば東大の農学部、北大がまずは俎上に上がります。また、彼がなんとなくのイメージであげていた明治大学や上智大学にはこの手の学科が設置されていませんでした。また、同様になんとなく圏内かなと思っていた横国や筑波もピタッと来るところがなく、逆に農工大や早稲田が改めて対象として上がってきました。
結局、北海道大学と早稲田をターゲットに勉強を取り組んでいこうということになりました。想定したレベルよりは正直高いハードルになりましたが、明確に自分にとって面白そう、と思える学科であり勉強内容であるので強い意志を持って取り組み、北大はダメでしたが早稲田はクリアすることができました。
その後大学院にまで進学した彼は、大手のプラント会社に研究職で就職をしていきました。
とりあえず明治のK君
K君は私立進学上位校に通う生徒で、学校は早慶当たり前、というレベル感です。当然大学に進学するのですが、あまり考えもなく、「とりあえず明治あたり」ということで法学部、商学部、政治経済、文学部と網羅的に受けたところ、文学部の心理社会学科に合格し進学をしました。
ところが、彼は心理学には全くもって興味がなく、学校の授業や専攻、ゼミ内容にさっぱり意欲が湧きません。結局学校もさぼりがちになり、あれこれと親とももめた挙句に、大学を休学。半年後に復学しましたが、結局地方公務員目指して公務員試験の予備校をメインに通う、ということになりました。東京都がダメで、地元の特別区の試験に合格して、という結果になっています。
世の中のことを学ぼう、知ろう
どちらのケースがその後の人生においてプラスになるのか、結果論ではわかりません。しかし、大学に入った4年間のことだけを切り取れば、それはW君の選択がベターであるように見えます。
つまり、大学を決めるにあたり後悔するリスクを減らすには、学科をきちんと吟味して決めるべきだということです。そして、そのためには、単に学校の勉強をするだけではなくて、世の中のことを高校生の時点でしっかり学び情報収集することが大事です。
別に、それによって将来やりたいことを決めなくてもいいのです。少なくとも、自分が大学4年間で勉強するのに「面白そう」と思えるものを選べればいいでしょう。面白そう、と思えるものならば、まずは入り口はポジティブに取り組めるでしょうし、逆に、面白いとも思えないものを必死に勉強するとはあまり思えません。
まとめ
就職をする、社会に出る、という際に大学名というのはもちろんまだまだ大事ですが、単に箱の名前をどこまで重要視するかといえば、そのウエイトは下がってきているのは間違いありません。それよりも、いかに大学生活で勉強してきたか、勉強と向き合ってきたか、活動をしてきたか、ということをしっかり吟味するようになっているのは間違い無く、この先もその傾向は続くのではないかと思います。
その点から考えると、入り口の段階できちんと何を学ぶかについて、学科まで詳しく調べていくことはとても重要です。